2020 Fiscal Year Research-status Report
近現代フランス倫理思想に基づく「自己愛」概念の包括的研究
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18K00028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村松 正隆 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (70348168)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己愛 / ルイ・ラヴェル / ミシェル・アンリ / ジュール・ラニョ― |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究については、Covid-19の拡大により、著しい影響を受けることとなったが、二点の口頭発表を実施し、また一点の海外学会発表が受理された(当初は令和2年度実施予定だったものが令和3年度に延期されたもの) 10月30日にZoomを利用して開催された哲学会ワークショップ「19世紀フランス哲学再考―反省哲学の系譜から」においては、川口茂雄氏(甲南大学)と共に登壇し、「19世紀フランスにおけるスピノザの影 ~ラニョーの神論を巡って」と題した発表を行った。この発表においては、スピノザの影響下での「自己愛」の滅却に関するラニョーの思考を紹介・分析した。これによって、19世紀末のフランス哲学における「自己愛」の克服のあり方を巡る議論の一端を明らかにした。 また、ミシェル・アンリの小説研究も継続して行い、12月20日に開催されたミシェル・アンリ哲学研究会においては、「アンリ・象徴・精神医療──『王の息子』を読む」と題した発表を行い、ミシェル・アンリ『王の息子』における自己性の扱いを分析した。
また、本来は2020年度8月に開催予定だったASPLF(Association des societes de philosophie de la langue francaise)の第38回大会にて、ルイ・ラヴェルの言語論を巡る発表を行う予定であったが、この大会はCovid-19の余波を受けて延期されたため、令和3年度にオンラインで開催されることとなった。この新たな会では完全原稿の提出が求められていたが、これは既に提出の上、受理されており、本研究の成果として発表が、令和3年5月ないし6月に実施される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid-19の影響を受け、当初の予定通りの発表ができないといったことはあったが、当該発表も令和3年度に実施で切ることが確定しており、おおむね順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、上述のASPLF第38回大会における発表が既に確定している。こちらは仏語原稿が既に完成しているので、こちらをヴァージョンアップした日本語原稿を完成させることとしたい。他にも、ミシェル・アンリの小説における「自己性」の問題に関する研究を継続し、日本ミシェル・アンリ哲学会において発表を行う予定である。また、昨年同学会で行った研究については、同学会の会誌『ミシェル・アンリ研究』に掲載の予定である。その他、継続しているルイ・ラヴェルの著作の翻訳を引き続き行い、何らかの方途で発表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により遂行できなかった研究を継続するため、延長申請を行い、令和3年度の使用額を500,000円とした。
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