2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on How Other Countries Deal with the Conflict between Gamete Donor Anonymity and Donor Offspring Right to Know
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18K00034
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仙波 由加里 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任リサーチフェロー (00565872)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 配偶子ドナー / 匿名性の廃止 / 出生者の知る権利 / ドナー情報の管理 / デンマーク / ノルウェー / 精子バンク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究テーマを遂行するために、昨年度に引き続き文献調査を実施し、昨年度のオーストラリアでの調査で得た結果を国立台湾大学のGlobal Asia Research Center(GARC)が5月17日に開催したシンポジウムNew Reproductive Technologies and Global Assemblage: Asian Comparative Perspecitveで“Abolition of Gamete Donor Anonymity―What Can Japan Learn from the Experience of Victoria State, Australia and New Zealand?”というタイトルで一部報告した。 また9月8日から9月14日にかけて情報や資料収集のためにデンマークとノルウェーで現地調査を行った。デンマークは世界的にも有名な精子バンクが存在し、ヨーロッパの多くの国がデンマークの精子バンクを利用している。そこでオールボー大学を訪れ、Dr. Stine Adrianからデンマークの精子バンクに関して情報提供を受け、その情報をもとに、European Sperm Bankを訪問し、各国の要求する精子ドナーの情報管理の方法や各国の法制度への対応などについて情報提供してもらった。またロスキレ大学のDr. Rikke Andressenからは血縁と家族関係について、欧米人がどのようにとらえているか等の情報提供を受けた。 ノルウェーでは、オスロ大学のDr. Kristine Engh Fordeからノルウェーで精子ドナーの匿名性が廃止された経緯などについての情報提供を受けた。調査後は、ノルウェー工科大学のDr. Merete Lieから継続的に研究協力を得て、メールで情報などをしてもらっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度、研究計画で予定していた資料収集および文献調査は順調に進められた。また昨年度の研究成果の報告として、5月17日に国立台湾大学のGlobal Asia Research Center(GARC)の主催で開催されたシンポジウムNew Reproductive Technologies and Global Assemblagesでも、“Abolition of Gamete Donor Anonymity―What Can Japan Learn from the Experience of Victoria State, Australia and New Zealand?”というタイトルで一部報告した。そしてそのシンポジウムで知り合った各国の研究者とは現在も交流を続け、2019年9月のデンマークやノルウェーの調査では、そうした研究者からの紹介によって研究協力の獲得につながった。 2019年度の研究計画通り、ノルウェーでの調査を実施し、現地の新聞記事やノルウェー語でしか公にされていない情報など、貴重な資料を収集することもできた。家庭の事情(実父の急逝)で、調査半ばで帰国しなければならなくなったが、コペンハーゲンやノルウェーの研究者らからの情報収集はほぼ予定どおりに達成できたと思われる。現在は収集した情報を精査し、整理・分析をすすめている。 本研究では現地調査は行わないオランダ、ベルギー、ドイツ、イギリス、ニュージーランド、アイルランドなどの情報についても、アルバイトを雇用し、資料収集および整理・分析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年のノルウェー調査は途中で帰国することになったため、2020年度は再度ノルウェーを訪問し、中断してしまった調査を実施するつもりであったが、新型コロナのパンデミックの影響を受け、海外への渡航は見通しがたたなくなってしまった。そのため、ノルウェーの研究者とメールやオンライン会議などを通して連絡をとり、情報収集をさらに進める予定である。すでにノルウェー工科大のMerete Lie教授とは定期的に連絡をとって、様々な情報を得ている。 2020年度も2019年度に引き続き、すでに調査を実施したオーストラリア・ヴィクトリア州やノルウェー以外の国で、配偶者ドナーの匿名性を廃止し、出生者の知る権利を尊重している国や地域の情報収集や分析も実施していく予定である。これらの国の「出生者の知る権利」を保障するための法については、資料や文献を中心に、その歴史的な経緯や、法の施行前と施行後について調査をすすめ、現地の専門家とメール等で連絡をとりながら研究をすすめていく。結果については、随時、学会で報告したり、論文にまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
204,466円の使用額の差額が生じた理由は、第一に、文献や資料の整理や、データの整理のためのアルバイトを雇う予定で人件費を確保しておいたが、現在まではアルバイトを雇わなかったためである。これについては2020年度はすでにアルバイトを1名採用したため、ここに差額をあてていく予定である。。 第二に、2019年9月のノルウェー調査の最中に実父が急逝したため、急遽帰国し、調査のための旅費予算を消化しきれなかったことで差額が生じた。2019年度予算の繰越金ついては、新型コロナのパンデミックの状況を見て、可能であれば2020年度にもう一度ノルウェー調査を実施したいと考えている。また文献調査や情報取集に使用額を当てていく予定である。
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Research Products
(1 results)