2019 Fiscal Year Research-status Report
Philosophical Practice for Educational Development in Developing Countries
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18K00041
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
望月 太郎 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50239571)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 哲学プラクティス / 哲学カフェ / 哲学カウンセリング / 子どものための哲学(P4C) / コラプション ・汚職・腐敗 / LGBT+ / 森林保護 / 環境倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度(平成31年度)は、次のような調査研究を実施した。 1)昨年度に引き続き、カンボジアを調査研究の対象国とし、海外共同研究者である中川香須美(パンニャサストラ大学カンボジア, PUC 国際関係学部講師)と共同でジェンダー論をトピックとした哲学カフェを現地の当事者を交えてプノンペンとカンポットで逐時開催(2019年6月1日、7月21日、10月6日;2020年1月19日、2月21-22日、3月18日)、カンボジアにおけるLGBT+の現状についての理解を深めた。この活動を通じて、カンボジアでは家父長制の伝統の下、現代の若者にあっても性的マイノリティが差別を受けていることが明らかになり、そこからの解放のために哲学カフェの活動が役立つことを確認するとともに、クメール哲学の現代的課題として家族と個人の人間関係を問題化することができた。 2)ミャンマーにおける調査研究に着手すべく、海外共同研究者であるSan Tun(ヤンゴン大学哲学科教授)と共同で発展途上国における教育開発のための哲学プラクティスについてヤンゴン大学で講演を行なった(2020年1月12日)。この講演を通じて、ミャンマーにおいても子どものための哲学(P4C)へのニーズがあることを確認できた。 3)「コラプション (汚職・腐敗)」の問題へ理論的にアプローチするため、アリストテレスとモンテスキューの腐敗論の研究及びマルセル・モースの贈与論の研究、現代の汚職・腐敗論の研究を行い、大阪大学大学院文学研究科で講義を実施した(秋冬学期)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カンボジアの僧侶による森林保護と環境倫理に関するフィールド調査(オッダー・ミーンチュイ州「僧侶のコミュニティの森 Monks Community Forestry Cambodia」)は、現地におけるロジスティクス上の困難のため継続することができなかった。子どものための哲学(P4C)の教育実践をPUC附属小学校で2020年3月、河野哲也(立教大学文学部 教授)と共同で行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大のため中止となった。また、昨年度に引き続き、カンボジアでジェンダー論に関する調査研究を続けたため、本来は今年度に予定していたミャンマーでの調査研究に遅れが生じ、2020年1月に講演を実施するだけで終わってしまった。以上のような進捗状況から、本研究課題の調査研究については、やや遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるが、カンボジア及びミャンマーでの調査研究ならびに教育実践を継続するとともに、大阪大学大学院文学研究科現代思想文化学研究室とチュラロンコン大学文学部哲学科(タイ、バンコク)に設置された日本-ASEANグローバル哲学研究交流ジョイント・ラボラトリーとの協力関係の下、これまでの調査研究活動を発展途上国における「コラプション (汚職・腐敗)」の問題への実践的アプローチに繋げることが課題である。年度内に研究成果を著作として公刊する予定である。
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Research Products
(6 results)