2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Virtue ethics approach on Procreative Ethics
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18K00043
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
柏葉 武秀 宮崎大学, 教育学部, 教授 (90322776)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第一年度の目的は、「親であること」概念の究明に集中的に取り組むべく「親であること」を扱う労作を読み込みながら、この論争に一定の決着をつけることにあった。研究の主眼はもっぱら関連文献の収集と読解にある。第一年度においても関連する研究文献は続々と出版されており、収集と読解を進めてきた。 この作業は順調であったけれども、その成果として「親であること」概念にはpartiality(あえて訳せば「えこひいき」とでもなろうか)概念が分かちがたく結びついている事実が判明した。 前回科研費研究で明らかになったのは、「親であること」概念の解明さらには「善い親の徳」の特定にあたっては、親(あるいは親の候補)のライフステージに沿った段階別に考察する必要があることである。今年度の研究において、親と子どもとの道徳的な関係の特殊性は道徳のimpartialityとpartialityをめぐる論争において厚い蓄積があるとの新たな知見が得られた。すなわち、功利主義あるい義務論といった代表的倫理学理論は不偏不党、公平無私の視点から組み立てられているけれども、親子関係はこの視点に基づく枠組みでは捉えきれない。 Cottingham、Nelsonらのいわば古典的な一連の仕事に学び、見込み上の親の子へのpartialityと、じっさいに子どもを持つ親のpartialityの差異を論じるいくつかの論考を読み始めている段階である。 研究方針にやや変更があったこともあり、第一年度は研究発表を行うには至らなかった。現在は、直接「親であること」概念に関連するかどうかはいったん棚上げして、Parental partialityに焦点を当てた論文を準備しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では気づいていなかった論脈を発見し、新たに文献研究を進める必要があるため
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大幅な修正はせずに、新たな知見を生かして第二年度の課題に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
発注していた書籍の金額に多少のずれが生じたために、400円弱残額が生じた。とくに使用計画を立てるまでもなく、次年度適切に使用できるはずである。
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