2019 Fiscal Year Research-status Report
Health care rationing and discrimination
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18K00046
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
有馬 斉 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (50516888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 終末期医療 / 尊厳死 / 安楽死 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画通り、生命を維持することの価値に関する基礎的な研究を行うと同時に、2019年以降は、東京都の福生病院における透析中止の事例、スイスで自殺幇助を受けた日本人に関するNHKスペシャルの報道、新型コロナウィルス感染拡大における医療資源不足の可能性など、本研究の課題と関連で社会の大きな注目を集める問題がいくつか生じたこともあり、これらの時事的な問題にも同時に言及しながら研究を進めた。 具体的には、以下のとおり複数の論文執筆・発表、講演等を行った。まず、福生病院の事例について、日本臨床倫理学会主催のワークショップに登壇しコメントを行ったが、この際の経験を踏まえて、オンラインジャーナル『シノドス』に患者が終末期であることを理由とする治療中止の是非に関する判断にどのような仕方で価値判断が入るかを検討した。また、自殺が予防の対象となるか幇助の対象となるかの判断には患者の社会的な属性についての医療者の理解が影響する可能性があることを検討し、日本自殺予防学会の年次大会で発表するとともに、発表の内容は当学会の学会誌に発表した。 2019年に出版した単著では、生命維持の価値について議論を展開していたが、この単著について、合評会を二度開催していただいた(京都生命倫理学会と立命館大学生存学研究所の主催による)。そこでいただいたコメントには当日も応答したが、のちに南山大学と立命館大学の紀要に発表するために文章化した。本については倫理学分野の研究者からいただいた書評がこの他にも一つあり、これに対する応答も科研費研究会の報告書に掲載される予定である。 また、緩和医療における鎮静の利用の是非について、日本生命倫理学会の年次大会で報告し、この内容を現在論文化している。 この他、2015年に自殺幇助の是非について執筆し日本倫理学会の学会賞を受賞した論文を英訳したものが、当学会の欧文誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って生命維持の価値に関する基礎的な研究を行うと同時に、とくに現在社会的に注目される多くの時事的なケースについても言及しながら研究を展開できている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が本研究課題の最終年度に当たる。来年度も、研究計画執筆時の計画に従って研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より支出を抑え、研究を遂行する事がでたため。(繰越分については、次年度使用する予定である。)
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