2020 Fiscal Year Research-status Report
Health care rationing and discrimination
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18K00046
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
有馬 斉 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (50516888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終末期医療 / 尊厳死 / 安楽死 / 倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
いわゆる終末期鎮静と安楽死との道徳的な差に関する論文を執筆し、国際生命倫理学会の学会誌Bioethics(英文)に投稿し、査読を経て掲載された。終末期鎮静については、終末期の患者を完全な無意識にしたまま死亡するまでその状態を維持するいわゆるCDS(持続的で深い鎮静)という処置の倫理的な是非が問題になっている。CDSについては、患者に致死薬を投与して死亡させる安楽死と比べて、患者の主観的な経験からいえば区別できないのではないかとする批判が出ているのである。この批判の妥当性について検討を加えた。終末期鎮静については、また、『月刊 保険診療』の依頼を受けて、鎮静だけ許容して安楽死を許容しないことが正当化できるのかという問題について論文を執筆した。(2021年度に出版予定。) また、2019年に出版した単著『死ぬ権利はあるか―安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非と命の価値』について、他の研究者からいただいた書評3本について、それぞれに応答を執筆し、科研費研究班の編集による報告書「生命倫理・生命法研究資料集V: 先端医療分野における欧米の生命倫理政策に関する原理・法・文献の批判的研究」(2018-2020年度科学研究費補助金基盤研究(B)(一般)No.18H00606研究グループ編)と、大学紀要「立命館生存学研究」(立命館大学生存学研究所紀要) 4号に出版した。 同じ単著については、2020年10月に日本医学哲学・倫理学会の学会賞を受賞した。 また、オランダの安楽死審査委員会の委員を務めるアン・ルース・マッコア氏が、オランダの安楽死関連の法律とその運用の在り方に関して執筆した英語論文を翻訳し、上述の科研費報告書に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
終末期医療の倫理に関して上記の通り論文を複数本(うち、査読付き国際英文誌1本)を出版した。順調に進展していると理解している。
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Strategy for Future Research Activity |
元の研究計画に沿って研究を継続する。現在終末期鎮静が許容できる範囲について執筆中の原稿を今年度中に論文として出版する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行により旅費の使用がなく、当初予定していたより少額の研究費しか使用せず、次年度に繰り越した。次年度も旅費として使用することは難しい可能性が高いため、資料の購入費等に充当する計画である。
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[Journal Article] オランダにおける安楽死2020
Author(s)
アン・ルース・マッコア著, 小出泰士・有馬斉共訳
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Journal Title
生命倫理・生命法研究資料集V: 先端医療分野における欧米の生命倫理政策に関する原理・法・文献の批判的研究: 2018-2020年度科学研究費補助金基盤研究(B)(一般)No.18H00606研究グループ編
Volume: -
Pages: 1-24
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