2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Old Indo-Aryan reduplicated present
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18K00054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾園 絢一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (90613662)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重複現在語幹 / 古インドアーリヤ語 / ヴェーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
古インドアーリヤ語(ヴェーダ語)の重複現在語幹の中、a(印欧祖語 *e)で重複する語幹の用例を分析した。イラン語(アヴェスタ語)、ギリシア語の対応形と比較し、またアオリスト語幹と対照しながら、アスペクトの点から重複現在語幹の機能を考察した。その過程で、daa「与える」、dhaa「置く」などの動詞のアオリスト語幹は言及法(injunctive)において特殊な意味を持つことに注目し、考察を行った。言及法アオリストが命令の意味を担い得ることは、K.Hoffmannによって明らかにされたが、Hoffmannが既に指摘しているように、アオリスト語幹によって表示される完了相(又は全体相)が一因として関与していることを確認し、さらに既にインド・ヨーロッパ祖語の段階で言及法アオリストが命令法アオリストのパラダイムの中に取り込まれていた可能性が高いことを指摘した。その成果を国内の学会誌に発表した。 また i で重複する現在語幹pi-par-/pi-pr(-a)- (impf. a-pi-pr-a-ta Rigveda V 34,2), pi-prk- の用例調査に着手し、重複現在語幹だけでなく、praa/pur「満たす」、parc/prc「満たす」の全動詞語幹の用例を集め、分析している。用例の分析・検討に基づいて、iによる語根重複の機能(従来は作為factitiveを表すとされる)について考察を重ねている。成果は翌2022年度に公開することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際共同研究加速基金プロジェクトの一環として国際ワークショップをドイツで開催することを企画し、準備を進めていたが、度重なる延期により開催準備に時間を要したため、機能の考察、成果公開の面で若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
iで重複する現在語幹の用例の調査と検討を終え、古インドアーリヤ語(主にヴェーダ語)の重複現在語幹の歴史的展開を明らかにすることを目指す。また国際共同研究加速基金プロジェクトの成果を取り入れ、機能についても分析し、なるべく速やかに成果を公開することに努める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大による移動制限のため、参加を予定していた国内と海外の学会が中止又はオンライン開催になり、当初予定していた旅費が支出されなかったこと、および対面で行う研究補助作業を依頼することができなかったことにより未使用額が生じた。次年度は状況が改善されば、国内外の学会に参加し、今年度依頼する予定であった研究補助作業を依頼すうことを予定しており、旅費・人件費の支出が増える見込みである。、
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Research Products
(1 results)