2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Old Indo-Aryan reduplicated present
Project/Area Number |
18K00054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾園 絢一 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (90613662)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重複現在語幹 / 古インドアーリヤ語 / ヴェーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
古インドアーリヤ語の重複現在語幹の用例をヴェーダ文献から採取し,重複現在語幹の通時的・共時的解明に取り組んだ。aで重複するもの(da-daa-, da-dhaa-, ra-raa-. ba-bhas-など),iで重複するもの(iyar-, pi-par-, piparc-, ji-gaa-, vi-vac- など)を整理し,ヴェーダの用例を中心に分析した。本来全体相を表現するアオリスト語幹や完了語幹とも比較しつつ,重複の機能について検討した。語根重複の基本機能である動作の反復を表す語幹が見られる他,一部の動詞については習慣的な動作を表していた可能性がある。また従来から指摘されるようにiで重複する語幹には,作為(factitive)を表示するものも見られるが,起源については今後,その他の重複カテゴリーと印欧各言語と比較しつつ,より詳細な検討を要する。最終年度には,長年議論されてきた,同じ語形において気息音の有無の問題に取り組んだ。これは2つの気息音から構成される印欧祖語の語根(diaspirate root)に遡る動詞から形成された語形に見られる現象であるが。気息音の異化(Grassmannの法則)の適用順序の点から重複語幹動詞を含めて検討した。その結果,従来通説とされてきた,Grassmannの法則から同化(assimilation)という適用順序とは異なる順序によって気息音の有無が決定される可能性を指摘した。
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