2021 Fiscal Year Research-status Report
A Basic Study on the Constitution of the Soma Sacrifice in the Vedic Literature
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18K00057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 智靖 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60626878)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ディークシャー / 潔斎 / アグニシュトーマ / ソーマ祭 / サーマン / ヴェーダ / 婆羅門 / 儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
ⅰ.本年度も、ソーマ祭基本形となるアグニシュトーマの各学派の儀礼構造について、ヴァードゥーラ学派を含めたディークシャー部分の儀礼工程表を作成しつつ、考察を進めた。特に取材記録映像(2020年2月)をきっかけにして、穀物献供儀礼において導入される歌詠(サーマン)について分析を行い、ブラーフマナ文献群の時代からシュラウタ・スートラ文献群編集期におけるアグニシュトーマの歴史展開を探る契機を得た。 ⅱ.昨年度より継続している、カルナータカ州及びマハーラーシュトラ州で発見された1800年代前半から中盤にかけてのパームリーフ写本群を編集校訂した『アーパスタンバ・シュラウタスートラ・プラヨーガ』のローマナイズ作成と、上述の取材記録映像との照合をさらに進めた。 ⅲ.その取材記録映像の内容分析についても、動画編集ソフトを導入して儀礼行為とマントラの字幕・テロップ挿入を試み、解説的動画の作成に成功した。その一部は2022年3月4日の「ブラフマニズムとヒンドゥイズム第8回シンポジウム」において発表した。 ⅳ.ディークシャー祭主との関連性に着目しつつ、アグニシュトーマ中で執行される動物犠牲祭について、J. Schwab, Das altindische Thieropfer, 1886を基にして、サーマンの導入を視野に入れた思想展開を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際サンスクリット学会の延期により予算執行に変更が生じ、一年の繰越延長を行ったが、その代わりに当初の研究目的に照らして、サーマン導入の歴史とソーマ祭の展開に関する新たな視点を加えることができた。より補強された成果を得られる見込みがあるため、全体の見通しとしてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
ⅰ.アグニシュトーマ準備祭(ディークシャーから動物犠牲祭まで)の儀礼工程表を完成させる。 ⅱ.取材記録映像について、『アーパスタンバ・シュラウタスートラ・プラヨーガ』との照合と、テロップを加えた編集動画作成をさらに進める。
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Causes of Carryover |
本年度中に開催予定であった国際サンスクリット学会が再度延期となり、次年度使用額が生じた。同学会は2023年1月に開催予定であるので、その際に使用する計画である。
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