2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Yogic Perception in Later Buddhist Epistemology
Project/Area Number |
18K00059
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
護山 真也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (60467199)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヨーガ行者の直観 / ダルマキールティ / プラジュニャーカラグプタ / ジュニャーナシュリーミトラ / 四諦 / 不二知 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる本年度は,昨年度から継続してジュニャーナシュリーミトラ著『ヨーガ行者の確定』に関するテキスト校訂・和訳注研究を継続し,特にヴァーチャスパティ・ミシュラの『ニヤーヤ・カニカー』およびトリローチャナの『ニヤーヤ・プラキールナカ』における仏教説批判を引用しながら,それらに対する応答を述べた箇所の分析に力を注いだ。ヨーガ行者の直観は一見すると〈刹那性〉などの共通相を対象とするかに見えるが,ジュニャーナシュリーミトラの分析では,そこには〈アディヤヴァサーヤ〉の働きが介在するため,個々の刹那的な事物(独自相)がその対象となるとされる。この点は,ヨーガ行者の直観の対象をめぐる難問を解くための鍵になるものと思われる。この解読研究の成果は『南アジア古典学』第16号(2021)に公刊しており,続篇も同雑誌に掲載予定である。 また,松岡寛子氏(オーストリア科学アカデミー研究員)と三代舞氏(日本学術振興会特別研究員)と共同して,プラジュニャーカラグプタの『認識論評釈荘厳』における苦諦論(PVA ad PV II 146cd-159)の解読研究を行った。ダルマキールティが〈欲望などの反復経験〉を論じる文脈で,プラジュニャーカラグプタはそれと対称的な位置づけにある,苦楽を超越した平安へと向かう〈真実の反復経験〉に言及する点が注目される。また,プラジュニャーカラグプタが不二知と四諦との関係を彼がどう捉えていたのか,という問題について,『認識論評釈』第2章第139偈および146ab注釈箇所に登場するyuktiという語の解釈を検討することで,四諦の議論のなかに法無我の概念を読み込もうとした彼の狙いが浮かび上がった。 また,昨年度に引き続き,主宰神証明の論駁を論じた『認識論評釈』第2章17-28偈に対する『認識論評釈荘厳』のテキスト校訂・英訳註研究を公刊した。
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