2020 Fiscal Year Research-status Report
上古日本天台における一乗思想の基礎研究-叡山文庫蔵『法華三宗相対抄』を中心に-
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18K00070
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
道元 徹心 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (60368024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天台 / 一乗思想 / 法華三宗相対抄 / 千観 / 一三権実論争 / 円頓戒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「上古日本天台における一乗思想の基礎研究-叡山文庫蔵『法華三宗相対抄』を中心に-」は、日本天台における一乗と三乗の仏性問題の解明を目的とする。 千観撰『法華三宗相対抄』の膨大な文献について思想的特徴を浮き彫りにすべく、その一部(別本の巻1の12丁および巻4から巻5にかけての第44丁の計55丁)を順次翻刻し公開している。 本年度は、最澄以降の一乗思想の系譜について、良源よりむしろ千観から源信への流れを捉えることが大事であるという複数の根拠を挙げることができた。その具体的一例として、最澄の『法華秀句』の内容に千観が言及して自説を展開していることを論文で指摘した。 日本天台は円教・密教・禅・戒律の四宗融合の総合仏教であり、天台の戒律は一乗思想に基づき「円頓戒」と称される。上古天台を研究する上では「円頓戒」の再検討が必要であり、本年度、龍谷大学図書館から「円頓戒」に関する文献を新たに検出して研究できたことで、日本天台における戒律思想の一側面も明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、おおむね計画にそった進捗状況にあり、現在まで計6点の研究業績ある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き今後の課題として逸文の復元がある。『法華三宗相対抄』には栖復撰『法華玄賛要集』が多数引用されており、その引用文には逸文が多く含まれている。 現行の流布本(底本は東大寺写本)に比べると、『法華三宗相対抄』所引の『法華玄賛要集』の方が遥かに資料的価値がある点も本研究によって検証できている。今後、逸文とされてきた巻22・巻23・巻30・巻32を翻刻し、逸文の部分的復元を目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画上、物品費が必要となった。適宜、専門書籍の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)