2020 Fiscal Year Research-status Report
アビダルマ以後における仏教的存在論と恒常的存在の存在論証との論争の系統的研究
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18K00071
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
狩野 恭 神戸女子大学, 文学部, 教授 (70204592)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アビダルマ / アートマン / 原子論 / プドガラ / サーンキャ / 目的論 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に報告した実績概要に示したように、平成30年度に予定していた計画の中で、『アビダルマコーシャ・バーシュヤ』(AKBh)の分析については、『オーストリアアカデミー・アジア部門元所長・故クラッサー博士追悼記念論集』に再投稿し、まもなく出版予定である。 第2の『タットヴァ・サングラハ(TS)』『同・パンジカー』(TSP)「イーシュヴァラ・パリークシャー」のテキストは完成し、チベット語訳の校訂テキストの作成と両者の対照もほぼ完成した。TS,TSPの他の箇所の研究者との情報交換を試みる予定であったが、新型コロナウイルスによる海外渡航の自粛により海外渡航が難しくなっている関係から実施にいたっていない。当初の計画にあった、上記テキストの英訳については、ほぼ終了したが、後半の英訳、英訳全体のチェックが残されている。これも、英語のチェックのために、アメリカの研究者と共同研究を予定していたが、同様にコロナ禍により、実施にいたっていない。また、令和2年3月、さらに本年3月に予定していたインド・ドイツにおける写本調査(主宰神論以外の部分を含む)についても、2019年度、2020年度は断念し、2021年度に持ち越した。ただ、インドにおける感染状況が極めて悪いため、今年度実施も難しい状況となっているので、郵便によるやりとりなど別の手段を検討中である。また、2020年春に『インド論理学研究』誌へ投稿した研究成果としての最新論文「遍充関係のレベルの確定と逸脱(vyabhicaara)」は、事情により出版が遅れているが、今年中に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.アメリカにおける共同研究、インド・ドイツにおける現地調査など海外における活動が、新型コロナウイルス禍によってできなくなっていることが最大の要因である。 2.すでに投稿し、校正段階にはいっているいくつかの論文が、編集者の事情により、出版が遅れていることも、成果公表が遅れている一要因となっている。 3.申請者本人も、本務校の大学において、コロナ禍における授業対策に必要以上に時間を割かねばならなないため、エフォート率が低下しているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度については、最終年度であるため、『タットヴァ・サングラハ』(TS)『同・パンジカー』(TSP)「イーシュヴァラ・パリークシャー」のサンスクリット語、チベット語テキストを完成させることを目標とする。海外渡航の制限によって不可能となった作業については、郵便や、インターネットなど、補助手段を活用して、作業を補うこととする。特に、アメリカの学者との共同研究は、Zoomなどの手段によって実行性を高めることとする。すでに、脱稿した諸成果については、出版を待つこととする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、アメリカにおける共同研究、インド・ドイツにおける資料調査が不可能となったため、旅費を中心に繰り越しが生じた。予定していた費用については、年度内に海外渡航が可能となれば執行し、不可能な場合、代替措置として、DVDやその他の媒体、コピーの請求など、また、ネット上のやりとりによって補うための費用とする。それ以外は、書籍など他の費用に振り替える。
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Research Products
(1 results)