2022 Fiscal Year Annual Research Report
A methodical Study of the dispute between Buddhistic Ontology after Abhidharma and the proof of the permanent existence
Project/Area Number |
18K00071
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
狩野 恭 神戸女子大学, 文学部, 客員研究員 (70204592)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アビダルマ / アートマン / プルシャ / プドガラ / 集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、プトガラ、プルシャ、アートマン、主宰神といった恒常的主体の存在論証に関する議論が、アビダルマ文献にみられるように、それらを認めず、要素の集合体としての存在、しかも刹那滅としてのそれのみを認める仏教徒との論争の中で、どのように成立し、分岐し、発展的に連関しているのか、という点をテキストに基づいて明らかにすることにあった。具体的には、①『アビダルマ・コーシャ』に代表されるアビダルマ文献における、要素の集合体以外になんらかのものが存在するのかという論争の解明、②『タットヴァ・サングラハ』における冒頭の4つの章の解読とアビダルマにおける議論とのつながりの解明、③近年解読が進んでいるデイグナーガ『プラマーナ・サムッチャヤ』や注に言及される関連議論の分析、④ニヤーヤ学派の文献(『ニャーヤ・ブーシャナ』『ニヤーヤ・マンジャリー』における該当箇所のテキスト分析を目的とした。最終的には、①②③は、ほぼ完了することができたが、④は課題として残った。特に①については、その結果を、オーストリアアカデミー前所長で他界した故クラッサー博士の追悼論集(オーストリアアカデミーから出版予定)に約40ページにわたる詳細な論文にまとめた。その中で、この論争がアビダルマ以後の仏教と仏教以外の学派との論争の出発点となったきわめて重要で基本的な論争であることが判明した。要素の集合体のみを存在論の中心として認める仏教徒に対して、集合をつかさどる主体、その目的としての存在という視点から、仏教以外の諸学派は、恒常的存在である「魂」などの存在を論証することになるが、その論争の論点を整理することができた。本論集は最終校正が終了し、本年(2023年)6月に出版される予定である。②③については現在論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)