2019 Fiscal Year Research-status Report
アバヤーカラグプタ著作の新出梵文資料校訂を通したインド仏教の学知形成様態の解明
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18K00074
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Research Institution | International Institute for Digital Humanities |
Principal Investigator |
苫米地 等流 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (00509523)
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 非常勤講師 (90573709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インド仏教 / 密教 / サンスクリット / テキスト校訂 / アバヤーカラグプタ / アームナーヤマンジャリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、後期インド仏教の碩学アバヤーカラグプタが著した重要文献『アームナーヤマンジャリー』第5-8章サンスクリットテクストの校訂出版を主たる目的としている。2019年度は、前年度に引き続き、同テクストのTEI準拠XMLデータに基づいて第7-8章の校訂作業を行ない、ドラフト版校訂テクストを作成した。うち、第7章については、2019年4月29日-5月2日の四日間、ドイツ・ハンブルク大学でリーディングセッションを開催し、海外研究協力者および同大学の学生多数の参加を得て、テクスト校訂に関する多くの新たな知見を得ることができた。また、研究代表者および研究分担者2名は、2019年9月11-14日に、イタリア・プローチダ島のナポリ大学"L'Orientale"校Scuola di Alta Formazioneにて開催されたManuscripta Buddhicaワークショップに参加し、『アームナーヤマンジャリー』をはじめとする新出仏教梵文テクストをリーディングセッションのマテリアルとして提供した。さらに、2020年1月には、研究分担者1名が所属する大正大学において開催されたワークショップでは、『アームナーヤマンジャリー』第8章のリーディングセッションを行い、同ワークショップに招聘した海外研究協力者と共に、校訂の問題点を議論し、テクストの改善を行なった。また、テクスト校訂の補助資料として重要なカマラナータ作『へーヴァジュラパンジカー』の梵文写本をTEI準拠の電子データとして翻刻したほか、アバヤーカラグプタを取り巻く関連学匠・文献に関する論文公刊・口頭発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
校訂を予定していた第5-8章全4章のドラフト版テクストを予定通り作成することができた。また、これらドラフト校訂本を用いたリーディングセッションを複数回開催し、これを通して校訂内容の改善を行うことができた。さらに、校訂と並行して、関連文献の調査もすすめ、校訂テクストの改善に資する知見を蓄積することができた。以上から、本研究課題は当初の予定どおり進捗しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2020年度は、前年度までに準備したドラフト校訂テクストの再吟味を行い、順次公刊してゆく作業に注力する予定である。本年度も海外研究協力者を交えたワークショップの開催を企図していたが、新型コロナウイルス感染症蔓延のため直接顔を合わせての会合は現状では開催不可能である。そのため、オンラインでの研究会を通して校訂テクストの検討作業を行うこととなる。
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Causes of Carryover |
研究分担者1名において、当該年度に購入を予定していた書籍を購入しなかったため、次年度使用額が発生した。この額は、当該の分担者において本年度分助成金と合算、物品費・旅費として使用する。
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Research Products
(18 results)