2021 Fiscal Year Research-status Report
アバヤーカラグプタ著作の新出梵文資料校訂を通したインド仏教の学知形成様態の解明
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18K00074
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Research Institution | International Institute for Digital Humanities |
Principal Investigator |
苫米地 等流 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (00509523)
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インド仏教 / 密教 / サンスクリット / テキスト校訂 / アバヤーカラグプタ / アームナーヤマンジャリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、後期インド仏教の碩学アバヤーカラグプタが著した重要文献『アームナーヤマンジャリー』第5‐8章サンスクリットテクストの校訂出版を主たる目的とする。2021年度は、引き続き、同文献のドラフト校訂本を公刊に向けて改善するための検証作業を中心に研究を遂行した。また、同じ著者による『五次第註・次第の月光』をテクスト校訂の補助資料とするための読解作業を行なった。2021年7、8月には、『次第の月光』を題材とする国際ワークショップをオンラインで開催した。このワークショップでは、ハンブルク大学、ライデン大学、ナポリ大学L'Orientale校およびオクスフォード大学の世界的に著名なインド密教研究者および大学院生ら多数の参加を得て、同文献のサンスクリットテクストを講読、当該テクスト校訂本の改善に資する多くの知見を得るとともに、『アームナーヤマンジャリー』に共通するアバヤーカラグプタの思想・実践体系を確認することができた。当初は、事業期間延長となった2021年度内に『アームナーヤマンジャリー』校訂本を公刊の予定であったが、作業を続ける過程でより多くの補助情報集積の必要を感じたため、再度の期間延長を申請し、校訂本のさらなる精密化を図る方針とした。なお、関連する業績としては、研究分担者2名により、アバヤーカラグプタおよび彼に影響を受けた学匠の著作についての研究が公刊(印刷中のもの含む)されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、2021年度内にサンスクリット校訂テクストを公刊の予定であったが、パンデミックによりドラフト校訂テクスト検証のための研究会開催などに一部支障が出た。また、校訂本の精密化のために補助資料を追加しこれを検討する方針としたため、より校訂作業に時間を要することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度は、前年度の作業で得られた補助情報をドラフト校訂本に反映させることを主たるタスクとし、これによってより精密化された校訂本の公刊をめざす。作業の過程においては、オンラインまたは対面での研究会を可能な限り開催する。また、本課題と同様にインド後期密教を扱う研究プロジェクトとの連携を図り、共同研究会等を積極的に開催して知見の共有を行なうこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症パンデミックのため、当初予定していた国内外での研究会・学会参加のための出張がキャンセルとなったため、主として旅費分の残額が発生した。次年度使用額については、残額の発生した研究代表者・研究分担者それぞれにおいて、学会等の対面開催が可能となった場合の出張旅費ならびに研究環境整備のための物品購入に使用する。
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Research Products
(9 results)