2021 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける伝統儀礼の産業化の背景と影響に関する宗教学的研究
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18K00075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 敏明 東北大学, 文学研究科, 教授 (80322923)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 儀礼 / 産業化 / インドネシア / 冠婚葬祭 / コロナウィルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度当初計画していた現地調査については、コロナウィルス感染症の影響で実施できなかった。しかし昨年度の計画見直しで新たに設定した委託調査をそれに代えて行うことができた。具体的には、海外の協力機関(インドネシア・北スマトラ大学)との協力によって、10月から3月にかけて北スマトラ州で25の冠婚葬祭業者への聞き取り調査を行い、それらの調査内容をデータ化することができた。 調査にあたっては日本で直接研究代表者が指導教員として現地調査法の指導を行った信頼できる研究者をリーダーとしたチームを作り、そこに調査を委託する形をとった。またチームとは毎月ミーティングを行い、調査内容についてフィードバックを行った。調査項目としては、起業の時期・きっかけ・規模、業務内容、顧客の範囲、他業者との関係、近年の変化特にCOVID-19の影響などについて、質問シートに即して聞き取りを行った。 結果については現在まとめの途中であるが、インドネシアにおいても冠婚葬祭業の産業化が顕著になっていること、一方で文化や宗教の多様性、親族ネットワークの強靭さなどによって、大規模業者による標準的な儀礼の普及という日本的な展開とは違った実態も明らかになった。 また、COVID-19の影響のためインドネシア政府により大規模な儀礼に関する規制が行われる中、従来の大規模業者が苦戦している一方、ITなどのスキルを活かした若者による起業が目立つということも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症流行によって現地調査を行うことができなかったことが大きい。しかし2021年度には、現地の信頼できる研究者と協力しながらデータを集める方法を模索し、一定の成果をあげることができ、ここ数年の遅れをかなり挽回することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は現地調査の可能性を探りつつ、昨年度同様の方法でデータの収集を行う。また、これまで収集したデータをもとに、現地研究者と共著論文を作成し発表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症拡大に伴い、海外現地調査ができなかったため。今年度については状況をみながら海外現地調査を実施するとともに、昨年度同様の委託調査によるデータの収集を図ることとする。また、海外の協力機関の研究者と英文論文を共同執筆し、学術誌への投稿を行う。
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