2018 Fiscal Year Research-status Report
10-14世紀シリアにおける知的空間の変容に関する思想史的研究
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18K00076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40383385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 名誉教授 (70152840)
柳橋 博之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (70220192)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドゥルーズ派 / シーア派 / 十二イマーム派 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究においては、初期ドゥルーズ派の思想形成とスンナ派(特にサラフ主義者)における反シーア派論が主な研究対象となった。前者に関してはドゥルーズ派がシリアに拠点を移す直前に創始者であるハムザ・イブン・アリーが執筆したと思われる書簡を翻訳し(雑誌論文1)、特定個人の神格化や二元論的な宇宙論など特徴的な教義を明らかにした。この教義は極端派系シーア派に特有のものであり、シリアにおける彼らの活動を考える際の、あるいは同じ地域で活動してきたアラウィー派と比較する際の基本的な土台となるだろう。サラフ主義者の反シーア派思想については、2019年度中に刊行される予定の共著『東大塾 社会人のためのイスラーム講義』において、サラフ主義の祖とも言えるイブン・タイミーヤの記述などを主な資料としドゥルーズ派のようなシーア派系極端派とシーア派の主流派である十二イマーム派がどのようにスンナ派によって描かれているかを示した。イブン・タイミーヤは歴史的シリアの隣人であるアラウィー派、ドゥルーズ派を激しく攻撃すると共に、現代サラフ主義者に多大な影響を与え、彼らにとっての参照対象であり続けており、本研究における最重要思想家の一人である。この研究成果においては、14世紀のイブン・タイミーヤの反シーア派思想が「イスラム国」のような現代の過激派にも継承されていること、しかし、後者においてはイブン・タイミーヤにはなかったような単純化がおこなわれていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度中の刊行には間に合わなかったものも含めると当初の予定以上の研究成果を提示することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ研究は順調に進展しているので、このままの調子で進めていきたい。今年度の研究を通じて10-14世紀の歴史的シリアにおける思想的変遷を辿るためにはスーフィズムからの分析も必要となることが分かったため、この時期のスーフィズムを専門とする井上貴恵氏を研究分担者に迎え、研究全体の充実化を図る予定である。
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Research Products
(5 results)