2019 Fiscal Year Research-status Report
戦後期青森県地域におけるカトリックの宣教と受容に関する調査研究
Project/Area Number |
18K00078
|
Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
Principal Investigator |
木鎌 耕一郎 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90295965)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | カトリック教会 / パリ外国宣教会 / アリヴェ / お雇い教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究の予備的な研究として、明治期における青森県関連のカトリック宣教師の動向を調査した。青森県ではじめてカトリック宣教に従事したのは、パリ外国宣教会から弘前に派遣されたジャン・バティスト・オーギュスト・アリヴェ(Jean Baptiste Auguste Arrivet, 1846-1902)である。彼が弘前で最初にカトリック宣教を行った人物であることは、これまでも知られていたが、今回、彼が行った学校運営による宣教手法が、当時のパリ外国宣教会における旧鵜士族青年層に対する教育をめぐる宣教政策とどのようなつながりがあるかを、ある程度明らかにすることができた。また弘前を離任後のアリヴェが、その後宣教師を辞してお雇い外国人教師に転向した事実関係と、その背景として当時の日仏文化交流史に注目して調査を行った。これらの調査研究については、 「宣教師からお雇い外国人へ―ジャン・バプティスト・アルテュール・アリヴェ」(日本カトリック神学会第31回学術大会)、および「明治期カトリック宣教師における日本観の諸相」(2019年度 日本比較文化学会 東北・関東支部合同例会)において報告を行った。前者については、学会誌に投稿し査読が通った。 また本研究と付帯的にかかわる八戸におけるハリストス正教会の重要人物であるパウェル源昂に関する論考を精査し、共編著『地域の基層と表層 八戸地域から考える』(イー・ピックス、2020年3月)の中で公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的が戦後期に焦点をあてているため、本年度は予備的、付帯的な調査研究にとどまったが、一定の研究成果を得て、公表することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
残りの1年間で、青森県のカトリック宣教におけるカナダ・ケベックとの関係についての調査研究を深めていく。ただし当初予定していたカナダでの調査は、新型コロナウィルスによる社会状況からみて、海外渡航の適正化の時期が見通せないため、文献調査が中心になる可能性がある。
|
Causes of Carryover |
カナダ・ケベックでの調査を実施できなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は助成金を活用して是非調査を行いたいが、新型コロナウィルス流行収束による海外渡航の適正化が遅れた場合は、文献調査を強化する。
|