2019 Fiscal Year Research-status Report
宗教法人の経営する霊園・納骨堂の経営に関する研究-「名義貸し」を中心に
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18K00081
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
石井 研士 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (90176131)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宗教法人 / 宗教法人法 / 境内地 / 霊園 / 公共性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は八王子地区の霊園に関する情報の充実と、東京都以外の府県に位置しながら東京都に「霊園」「納骨堂」を有する宗教法人について調査を実施した。八王子地区に冠詞は、前年度にかなりの数の霊園存在と個別情報を収集した。今年度はその中から規模の大きい霊園を実際に現地で見聞した。大規模な霊園は、たとえ名義貸しでなくても、特定の墓石、葬祭業者が事務を担っており、名義貸しとは異なった意味での問題が存在する。また、調査を進めていく中で、霊園の墓石が特定の業者を指定して設置を求める場合が圧倒的に多いこともわかった。仏教会の情報誌である『月刊住職』などの情報誌に依れば、墓石を巡って寺院と業者の間に取り決めがあり、業者から墓石代金の一部が寺院へ還元されているとも指摘されている。こうした点については、業界の噂の範疇であって、実証することはきわめて困難であった。東京都であるが、東京都では立体式(機械式)納骨堂が増加しているが、多額の費用のかかる納骨堂の建設には業者との関わりが強く見える。池袋駅から徒歩5分ほどに位置する松栄山仙行寺沙羅浄苑(東京都豊島区南池袋2-20-4)は平成30年8月25日に開設された自動搬送式の納骨堂である。この納骨堂はインターネット上で「美郷石材」「博愛の絆」「いいお墓」「はせがわ」などのホームページに他の納骨堂と共に掲載されている。価格はどれも同じであるが、どのホームページにも宗派名や寺院の紹介はない。こうした実態の把握には、通常の調査では不十分な点が多い。かといって週刊誌的な描写やネタ探しは研究上問題がある。実態の探求に努めたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記したように、外形上の情報はかなりの程度収集を終わった。また、『月刊 住職』や「中外日報」といった業界の情報誌から情報も収集が進んだ。さらにホームページ上の情報も収集が進んでいる。しかし、こうした外形的な情報とは別に、実態に関しては、なかなか正確な情報を得られているとは言いがたいのが現状である。断片的に漏れてくる寺院経営の実態からの推測を余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度は最終年度であり、補完的な調査は行うが、全体像の把握と、問題であると考えられる霊園・納骨堂に関して報告書を作成する。また、この研究の先に、地域や財政基盤の格差による寺院経営の問題があり、こうした領域に有効な視座が開けることを企図したい。
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Causes of Carryover |
当該年度の活動実態で報告したように、調査のある段階でより詳細な情報を得ることが困難になった。多くの客観的な資料を収集したが、名義貸しをしている該当する宗教法人へのアプローチが難しく、そのための費用等が少なくなった。また、納骨堂形式の機械式自動搬送機を制作している滋賀県の工場へ見学を予定していたが、石井の個人的理由からかなわなかった。
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