2019 Fiscal Year Research-status Report
近代アジアと日本の女性の社会観の形成における国際教育修道会の影響に関する比較研究
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18K00082
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 白百合女子大学, 基礎教育センター, 教授 (60286888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠 立教大学, 文学部, 教授 (60308088)
大迫 章史 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60382686)
坂野 正則 上智大学, 文学部, 教授 (90613406)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 宗教と教育 / 修道会 / 女子教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の中でも現地調査を実施する中心年度として計画がなされていたが、調査研究対象地域における政治的状況の悪化によって渡航中止を余儀なくされることとなった。国内資料をもとにした文献調査などを中心に作業を実施しつつ状況の好転を待っていたが、最も大きな調査として予定していたヨーロッパ調査の実施も新型コロナウイルス感染拡大のため最終的に不可能となり、今年度計画していたアジア・ヨーロッパ地域のアーカイブにおける海外調査・研究の大部分を見送らなければならない状況となった。 そのため、今までに収集した文献や関連データの整理・デジタル化及びとりわけ、日本にも大きな影響を与えた国際教育修道会の歴史やその創立時の女子教育理念、また、それらの修道会を設立することになった関連修道会の霊性や教育理念などについて調査・検討、及びそれらが設立される背景となった時代背景及び地域の特徴などについての確認作業等を中心に研究作業を実施した。 また、唯一、可能となったフィリピン調査においては日本と関連を持つ教育修道会の創立当初の教育観が現地においてどのような歴史的変遷を経てきたか、特に教育内容や理念に関しての変容が見られたか、また、それらが設立された国の違いによってどのような教育観の変化が生じたかなどについて、現地の共同研究者たちの協力を得て、日本及びそれらの教育修道会の創立地であるヨーロッパ諸国における創立時の歴史的背景や教育理念などとの比較調査・研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年までの調査・研究においてマニラ及び東アジア地域において女子教育に関与していた国際教育修道会に関する歴史資料が保存されているヨーロッパの古文書館の特定ができたことから、現地研究協力者の協力を得て、そこでの資料収集及び文献確認のための幾つかの実地調査を計画していた。しかしながら、香港における学生デモの長期化による渡航禁止、及び新型コロナウイルスの感性拡大により、アジア諸地域及びヨーロッパの古文書館の調査・研究の延期を度々、余儀なくされ、最終的に本年度内実施が不可能となる状況となった。 アジア諸地域に残されている文献は限りがあり、ヨーロッパに残る資料との照らしあわせを実施する予定であったが、それが困難になったことから、今までに入手した文献資料や国内資料の読み込み、必要資料のデジタル化及び整理、比較対象として想定している日本における教育課程の歴史的変容、国際教育修道会をアジアに送り出したヨーロッパ地域の歴史的背景などを中心に分担研究を進めることとなった。 唯一、調査が可能であったフィリピンにおいては、文献化がなされていない教育実践や理念についての面談調査などを現地共同研究者たちと行うと共に、アジア地域における聖職者の養成の地としての現地の状況調査などを実施したが、比較対象国における調査の実施が不可能となったため、研究の方向性も修正せざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では同一修道会による教育実践のアジア諸地域との比較、及び、同一地域における教育における異なる国際修道会の霊性や創立国における教育理念などの比較を本研究の調査研究の中心においてきたため、新型コロナウイルス感染の収束が次年度中に見込めにくい現在の状況下にあって、その調査研究の手法及び範囲等を再検討せざるを得ない状況に直面している。 とりわけ、昨年度までの調査研究で得た新たな知見として特定されたヨーロッパの古文書館における文献やデータとアジア地域の文献の比較調査が非常に難しくなっていると共に、現地研究協力者たちや文献に現れない部分に関する面談調査の対象者の高齢化などもあり、非常に難しい状況となっているが、調査研究の方向性を修正・検討しつつ、従来の調査研究で得た成果を国内資料などとの比較、及び、歴史的調査を中心にシフトする方向で進めていくことを検討している。また、アジア地域の政治状況が好転した場合や新型コロナウイルス感染拡大が収束した場合も想定しつつ、現地調査実施のための現地との調整・準備も平行して行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査対象地であるアジアにおける政治情勢による渡航禁止及び新型コロナウイルス感染拡大に伴い、予定されていた海外調査が実施できなかったため生じたものであるため、それを補完するかたちでの研究計画修正に基づき、次年度使用を計画している。
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Research Products
(6 results)