2019 Fiscal Year Research-status Report
Universal Religion and Its Glocalization - Focused on Social Aspects and Diversities about Rituals of Catholic Church in India
Project/Area Number |
18K00083
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岡光 信子 中央大学, 政策文化総合研究所, 客員研究員 (50447116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インド / 移民 / キリスト教 / カトリック教会 / 典礼 / 人生儀礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、普遍主義を標榜する宗教「カトリック教会」の現地適応について、中心的な宗教儀礼である「典礼」と人生儀礼を焦点にして現地調査を踏まえて考察をおこなうものである。研究対象は、インドおよびインド系住民である。インド系のカトリック教徒の儀礼の変容を明らかにする前段階として、宗教の違いを超えてインド系の人々がどのような儀礼を共有し、共有しないのかを地域横断的に調査する必要がある。2019年度の海外調査は、①フィジー、②シンガポール、インドネシアに分け、2度実施した。①9月に実施したフィジーでは、首都スバにてインド系住民の調査を行った。フィージーにおける宗教の違いは、民族の違いによって分かれる。インド系移民は多くがプランテーション労働者であった。 プランテーション労働者は、インドの様々な地域から集められ、低カースト・貧しい出自をもつものである。また、プランテーション内でのコミュニティーが築かれ、その内部で独特の文化を形成していく。そのため、インド系住民は、個々人がその環境に応じて儀礼をおこなっている様子が観察された。②シンガポール、インドネシアシンガポールのインド系住民は、プランテーション労働者、高等・専門教育を受けた集団という旧移民とIT関連の新移民に分かれる。旧移民は、シンガポール人としての強いアイデンティーをもち、宗教別に実践する儀礼が異なっていたた。新移民は、母国にいる母集団と強い絆を形成し、母国で母集団が行う儀礼をできるだけ再現しているインドネシアのインド系移民は、プランテーション労働者とビジネスチャンスを求めてきた集団に分かれる。プランテーション労働者の子孫は、低カーストの出自で、未だに生活が貧しいものが多く、伝統的な儀礼を共有していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、普遍主義宗教を標榜するカトリック教会の現地適応における「儀礼の社会性および多義性」を考察するものである。そのため、キリスト教化以前のインド系の人々の儀礼を宗教別に地域横断的に調査する必要がある。 今年度、コロナウィルスの世界的な流行により、インドに渡航が不可能になり、調査を行う予定であったインドネシアおよびシンガポールでの調査日程を短縮する必要となった。 そのため、現地の調査協力者や知人・友人とのインターネットを使った通信により、調査を補っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、「宗教のグローカリゼーション」ということをテーマに、普遍的宗教であるキリスト教の現地調査を行い、普遍宗教の現地適応について考察するものである。具体的には、インドのカトリック教会およびインド系住民を対象に、上記のテーマを追求する。 カトリック教会に関する文献は、インターネットなどで公表されるカトリック教会の公文書や声明文を丹念に拾い上げていく。現地調査は、インドおよびインド系住民が多い東南アジアを中心に行う予定である。 現地調査では、宗教の別を問わずにインド系住民の実践する儀礼に関する情報を集約する。次に、カトリック系住民の実践する儀礼に関する情報を収集する。両者の比較により、キリスト教化した集団の儀礼が、どのような形で現地適応をしているのかを検証する。
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