2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K00084
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
李 賢京 東海大学, 文学部, 准教授 (80584333)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人口減少 / 過疎地 / 少子高齢化 / 外国人宣教師 / キリスト教 / 地域維持 / 宗教施設 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、近隣地域(東京・神奈川)での調査を継続しつつ、遠隔地の新潟および北海道の人口減少や高齢化が進む地域のカトリック教会を中心に調査を実施した。承諾を得た教会の司祭・関係者等に、当該地域での過疎化や高齢化への対応に加えて、外国人宣教師の地域社会への参加、住民との連携、コロナ禍のオンラインでの対応などの取り組み事例の収集に努めた。また、類似する過疎化・高齢化問題をかかえる地域間比較および教団教派間比較を行うべく、広島の仏教寺院への調査も実施した。 コロナ禍において、集会の人数制限などが解消され、宗教活動や地域活動においても一部制限がなくなったものの、高齢の信者が多い調査対象の教会では、従来のような対面での諸活動が再開できない状況にあった。しかし、神奈川のカトリック教会では、外国人宣教師の積極的な働きかけにより、ミサをオンラインと対面を併用して実施した。また、新潟のカトリック教会では、SNSを通して情報発信を行い、ミサをYouTubeで配信、青年会活動などもZOOMを通じて実施した。北海道のカトリック教会でも、ベトナム技能実習生など外国籍信者を対象に、教会のミサや集会などの関連情報をSNSを通して行い、外国籍信者の生活面における様々なフォローも、SNSのメッセンジャーを利用して行った。 教会という場を軸としながら外国人宣教師とともにデジタル環境に慣れている教会関係者・青年会メンバーなどが重要な役割を果たしており、教会維持の担い手として期待されていた。さらに、こうしたオンライン化によって、COVID-19前は対面ミサなどに参加したくてもできなかった病気を抱えている信者や医療従事者、学生、未信者なども、オンラインを通して参加がみられるようになった。以上、本年度の調査で得られたデータをまとめ、所属研究会で口頭発表を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も昨年度に引き続き、人口減少の局面にある地域に赴き、教会調査およびそこで活動を展開する外国人宣教師一人ひとりへの聞き取り調査、そして住民たちへの聞き取り調査などを予定していたが、調査対象地は高齢者が多い地域のため、予定通りに調査を進めることはできなかった。一部では信者を対象としたオンライン調査も実施できたが、デジタル環境に慣れない高齢の信者が多く、予定通りに調査を進めることができなかった。ただし、新潟および北海道では現地調査に加え、オンライン調査も可能だったため、これまでの研究の遅れを少し巻き返すことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで調査してきた近隣地域(東京・神奈川)、遠隔地(新潟・北海道)に加え、人口減少・過疎化が進む地域の調査可能な宗教団体・宗教者を積極的に探り、現地調査とオンライン調査を併用し、データ収集に努める。これまでは、教会をはじめとする宗教団体と信者、宣教師を中心に調査を実施してきたが、次年度は該当地域の住民側への調査を通して、教会、宣教師と地域とのかかわりについての事例を集める。以上から得られるデータをもとに、所属研究会や国内・国際学会などで研究報告を行い、参加者からのコメントを集約し、検討および取りまとめを行う。以上を通して、最終的に、キリスト教会と外国人宣教師が地域社会・住民に対してどのような機能を果たし得るのか、宗教を越えて信徒や地域住民の支えあいが果たす機能について、新たな連携のアイデアとモデルを提示する。
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Causes of Carryover |
調査対象地の多くが高齢者の多い地域であるため、コロナ禍のなか、現地調査を予定通りに進めることができなかったことと、一部の調査対象者に対してはオンライン調査が可能だったため、本研究においてもっとも支出が多いものと計画されていた調査費用がかからなかった。そのため、次年度使用額が生じてしまったが、次年度は近隣地域の調査に加え、遠隔地への現地調査を積極的に実施するなど、主に調査費用として利用する予定である。
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Research Products
(2 results)