2019 Fiscal Year Research-status Report
「植民地朝鮮における日本人宗教者に関する基礎的調査研究」
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18K00090
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
金 泰勲 四国学院大学, 文学部, 准教授 (10608706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮の日本宗教 / 朝鮮総督府の宗教政策 / 植民地朝鮮の神社 / 植民地朝鮮の日本仏教 / 植民地朝鮮の日本人宗教者 / 植民地朝鮮の日本宗教の現在 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、韓国の国家記録院での資料調査を行うことに加え、植民地期に活動していた日本人の宗教施設に関する現地調査を行った。2019年の8月に実施した現地調査では、京畿道地域、釜山地域、慶尚北道慶州地域を調査した。調査内容としては、水原聖潔教会、水原市民会館(水原神社跡地)、水原同信教会、釜山光複教会、釜山大覚寺(旧東本願寺釜山別院)、甘浦第一教会(甘浦神社跡地)などの現在状況を確認した。日本国内の資料調査としては、6月7日~9日まで国会図書館で植民地朝鮮関係の地図資料を調査した。これらは、植民地当時の日本人宗教施設の場所を確定できる貴重な成果となった。また、8月3日~4日までに神奈川大学主催の「「帝国日本」の残影 海外神社跡地写真展」(横浜市民ギャラリー)へ出張した。同大学の研究所がこれまで調査してきた海外神社の跡地などに関する情報を得ることができた。 研究成果の発表としては、5月11日に韓国のソウル大学で行われた韓国新宗教学会で、天理教の組織と制度について報告を行った。また、10月18日~21日まで天理大学で行われた韓国日本近代学会の国際学術大会で研究報告を行った。これまでの資料調査と現地調査の成果をもとにして、植民地朝鮮で活動した日本人宗教者に関するデータベース構築の可能性について発表した。それに加えて、10月26日に立命館大学にて研究代表者が企画した企画研究会「帝国日本のキリスト教とその周辺」を開催し、本研究の中間報告も行った。 2019年度において最も特筆すべき実績としては、データベースのホームページ「植民地朝鮮の日本人宗教者」(www.jrpck.com)を構築して、公開することができたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況はすべて、データベースのホームページ「植民地朝鮮の日本人宗教者」(www.jrpck.com)で確認することができる。1910年から1945年までの『朝鮮総督府官報』を中心に、日本人宗教者の基本情報をデータベース化している。2018年度の実績では、各宗派の合計1千人程度の布教者名、布教時期、布教地域、移動などについて整理できたが、2019年度においては、3千人を超える布教者に関するデータを整理することができた。2019年5月末現在の整理分は1944年までで、天理教609名、法華宗32名、キリスト教308名、金光教120名、扶桑教46名、神理教64名、真宗大谷派425名、真宗本願寺派500名、浄土宗170名、臨済宗48名、真言宗268名、日蓮宗114名、曹洞宗226名など合計3103名に渡る布教者の基礎的な情報を整理・公開している。 また、同ホームページでは、韓国国家記録院所蔵の朝鮮総督府宗教関係行政文書リンクも構築することができた。同院のホームページで整理・公開されている原文イメージ資料は韓国語(ハングル文字)でのみ対応しているので、その文書記録名(簿冊名、件名)を原文の日本語に戻してリンクを付けている。 そしてこれまでの現地調査の写真も公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースのホームページ「植民地朝鮮の日本人宗教者」(www.jrpck.com)の構築においては、ホームページ制作会社の原則として構築可能なデータ量に制限があること(3,000頁まで)を、2019年12月の段階で分かった。その関係で、現在は他社へデータを移行する作業を行っている。研究3年目の2020年度では、この問題を解決しつつ、ホームページの完成を目指す。 また、「宗派別布教者人名索引」「植民地朝鮮の日本宗教関連年表」から構成される最終の実績報告書の完成を目指していく。 それらの成果を、日本宗教学会、韓国宗教学会などで研究報告を行う。現在の予定としては、2020年度9月に行われる日本宗教学会での研究報告を予定している。 2020年2月から進行しているコロナ事態に関係で、資料調査、現地調査などの研究活動に支障が出ている。特に、2020年3月に実施する予定だった韓国への現地調査が中止となったことは非常に残念なことであった。研究目的の充分な完成に向けて、現在の状況としてはやや不安な点もあるが、状況の許す限り最終年度の研究成果をまとめることに努力する。
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Causes of Carryover |
2019年度執行予算として、2020年3月に計画していた韓国への現地調査がコロナ事態で中止となった。その関係で執行ができなかった。 これについては次年度の現地調査や学会出張旅費として執行する予定である。
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Remarks |
webページ「植民地朝鮮の日本人宗教者」(www.jrpck.com)は、現在移行作業中
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Research Products
(9 results)