2019 Fiscal Year Research-status Report
人民の意志から人民の理性へ;19世紀フランスにおける理性と社会
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18K00094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金山 準 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30537072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 思想史 / フランス / 理性 / 家族 / 社会的なもの |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最大の目的は、19世紀フランス思想における「社会(的なもの)」を、統治の根拠たるべき「理性」との関連から検討することである。それは言い換えれば、「統治の根拠を社会からいかにして引き出すか」という問いでもある。なお正統性の根拠の「意志」から「理性」への転換や、統治の合理化といった発想は、19世紀の自由主義に広く共通するものであったが、この統治の合理化という問題意識と19世紀における社会的なものの前景化との連関が、本研究の出発点となった関心である。 より具体的な対象としては、ピエール=ジョゼフ・プルードン(1809-1865)の思想について、同時代のリベラルを補助線としつつ検討する。プルードンは一般的に社会主義者とされるが、恣意的な支配としての「専制」への警戒や、国家権力の肥大化に対する批判などの点で、むしろリベラルとの共通性が大きい。 プルードンの理性概念についての研究は前年度までに一定程度進展し、おおよその見通しを得ることができた。したがって平成31年度(令和1年度)は、プルードンおよびA・コントの家族論について集中的に検討した。一般的にきわめて合理主義的と言われるプルードンの思想にあって、家族における愛の問題は、その合理主義の限界を示すものとして意義がある。 以上に関連して、4月29日から5月3日にかけてフランス・パリで資料収集を行い、とくにプルードン関連の文献を収集した。また8月26日には国内より研究者を招いて研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「理性」概念についての研究が前年度までに想定以上に進展したため、今年度は家族や愛といった関連するテーマについての研究に取り掛かることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの実績により、「統治の基礎となるべきものを社会からいかに引き出すか」という問いについての、おおよその見通しを得ることができた。最終年度となる次年度は、今までの研究を取りまとめた研究成果の出版が主たる課題となる。
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Causes of Carryover |
旅費(海外航空券)が当初の想定より安価となったため、その分が次年度使用として残った。
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