2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K00096
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
村田 雄二郎 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70190923)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 陳独秀 / 文字改革 / ピンイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度に引き続き「中国ピンイン文字草案」の解読と歴史的位置づけ,及び晩年の政治思想と言語研究の関わりについて研究を進めた。前者に関してはとくに漢語ローマ字化の立役者と知られ,同じ中国共産党のリーダーであった瞿秋白と陳独秀の言語改革構想の異同について,『瞿秋白文集』や関連資料をもとに考察を深めた。そこから得られた結論として,陳独秀の言語思想及び改革案の特徴を以下のように抽出した。①文化革命:方言(土語郷音)と“大衆文学”の創造,②過渡期における言語改革の「穏健」路線,③階級論的言語観:「洋八股」「国語」「新/旧文言」批判,④工業化の進展(プロレタリアートの増大)と“普通話”の拡大普及への期待 如上の研究の内容を,2019年11月24日に中国研究所が主催した「五四運動百周年記念シンポジウム」(於公益財団法人東洋文庫)にて「陳独秀の言語と革命」と題して発表した。この報告は来年度に研究論文としてまとめ,公表する予定である。 このほか,晩年の陳独秀に関する胡適との関わりを調べるべく,2019年9月6日より8日まで,台湾に出張し,中央研究院近代史研究所付属胡適記念館にて,『陳独秀最後の見解』などの資料調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本資料である「中国ピンイン文字草案」の内容を考察し,上記研究会で報告することができた。また資料の収集・調査・分析もほぼ予定通り進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,最終年度の2020年度には,これまでの資料調査や分析結果にもとづき研究論文を執筆し,学術雑誌に公表する。同時に研究成果を中国大陸あるいは台湾・香港で開かれる国際学会で報告する。さらに「中国ピンイン文字草案」を整理し解題・注釈を付した上で,研究者が共有できるようにウェブあるいは紙媒体で公開する予定である。
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Causes of Carryover |
書籍購入において、計画に異動が生じたため。次年度に書籍の購入費として執行する予定である。
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