2020 Fiscal Year Research-status Report
The Theoretical Foundation of Sexual Diversity in Lacanian Perspective
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18K00098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 和之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00293118)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラカン / 性の多様性 / フロイト / エディプス・コンプレックス / 性別化 / ボロメオの結び目 / サントーム / ジェイムズ・ジョイス |
Outline of Annual Research Achievements |
計画3年目となる2020年度は、ここまでの研究成果の理論的な帰結をまとめて論文化の準備を進めた。 精神分析の同性愛に対するアプローチのフロイト以来の歴史に立ち返り、問題点とその克服の努力の事例を具体的に確認するととともに、とりわけそのフランス的な文脈を1990年代以降のフランスにおける論争の歴史に即して再構成することにより、そこから浮かび上がる原理的な問題、とりわけ「倒錯」の位置づけについての理解を深めた。平行して、精神分析とジェンダー・スタディーズ、クィア・スタディーズの間に生産的な関係を築こうとする近年の試みに注目し、そのなかでドゥルーズの哲学が果たしている役割について検討した。 さらに鍵となる理論的な装置としての「性別化」について、近年の議論を参照しながらその読み直しの可能性について検討すると共に、「エディプス・コンプレックス」の概念の発展的解消の事例の一つとしての後期ラカンの「サントーム」概念をめぐる議論について昨年度に引き続き考察した。とりわけそこで提出されたボロメオの結び目を利用した理論的装置について、ラカン自身の議論に即してJ・ジョイスの『若き日の芸術家の肖像』にあらわれる複数の父性的審級と関連付けて論ずる論文「「肖像」のエゴ-イズム:ジョイスとラカン」にまとめ、これを白百合大学言語・文学研究センター編・井上隆史責任編集『身体と身体:パフォーマンス・批評・精神分析』に発表した。またこの考察の成果にもとづき、ラカンのセミネール『サントーム』についての注釈書を分担執筆した。 計画されていた複数の海外調査等については、新型コロナ禍のため実施が叶わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
引き続き学内の役職を担当するなどでもともと時間的な制限があったことに加えて、新型コロナ禍への対応などが加わり研究時間に大きな制約を生じた。また新型コロナ禍のため、予定していた海外調査等も実施できず、遅れを取り戻すことが叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間の研究期間の延長を日本学術振興会に申請し認められ、また大学から今年度後半に研究専念期間を認められたことから、これによって利用可能になった時間を用いて集中的に研究に取り組む。未実施となっている海外調査等については、研究専念期間にまとめて実施することを考えるが、新型コロナの感染状況や海外の治安状況等がそれを許さない場合もありうると思われる。その場合はオンラインでの調査・インタビュー等を含めてできるかぎりの対応策を講じ、今年度中に何らかの成果を得るように努めたい。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】学内の役職担当による時間的な制約により研究が遅れたことに加え、新型コロナ禍により予定していた海外調査等が実施できなかったため。 【使用計画】次年度使用額については、数回の海外調査等のための旅費、外国語論文の校閲謝金のほか、研究上必要となる物品購入、資料整理等の謝金にあてる。
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Research Products
(1 results)