2021 Fiscal Year Research-status Report
The Theoretical Foundation of Sexual Diversity in Lacanian Perspective
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18K00098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 和之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00293118)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラカン / 性の多様性 / フロイト / エディプス・コンプレックス / 欲望の弁証法 / ボロメオの結び目 / サントーム / ジョイス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、新型コロナ禍による延長の1年目ということで、当初計画しながら未実施となっていた海外調査の一部を実施したほか、成果の一部を学会等で発表した。 2021年11月に行った海外調査では、フランス国立図書館にて、1990年代以降のフランスにおける精神分析と性的多様性の関係を中心に文献調査を行ったほか、現地の分析家・研究者と議論を行った。 さらに昨年度からエディプス・コンプレックスの発展的解消の事例として注目してきたラカンのセミネール『サントーム』について、2021年12月に第21回日本ラカン協会大会シンポジウム「ジョイス・結び目・精神病:『サントーム』をめぐって」を組織し導入の発表を行った。また同じく2021年12月に、表象文化論学会第15回研究発表集会にて、エディプスコンプレックスをラカンの欲望の弁証法の観点から読み直した場合、性同一性の成立が一貫した形で説明できる一方で、それぞれの性同一性に対応する性対象選択が幅を持った仕方で規定されることを指摘する発表「精神分析理論への同性愛の可能な包摂のための前提的問題について──J・ラカンの議論を手がかりに」を行った。 そのほか「性別化」の図式のさまざまな利用の在り方、および精神分析とジェンダー研究、クィア研究の最近の協働の試みについても引き続き調査・研究を進めており、後者についてはフランスで出版された著作について翻訳出版を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍のため、予定していた海外調査等をすべて実施することが叶わず、一部翌年度に持ち越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに1年間の研究期間の延長を日本学術振興会に申請し認められ、また大学から今年度前半に研究専念期間を認められていることから、これによって利用可能になった時間を用いて集中的に研究に取り組む。未実施となっている海外調査等については、研究専念期間にまとめて実施することを考えるが、新型コロナの感染状況等がそれを許さない場合もありうると思われる。その場合はオンラインでの調査・インタビュー等を含めてできるかぎりの対応策を講じ、何らかの成果を得るように努めたい。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】新型コロナ禍により、予定していた海外調査等を年度内にすべて実施することがかなわなかったため。 【使用計画】次年度使用額については、海外調査等のための旅費、外国語論文の校閲謝金のほか、研究上必要となる物品購入、資料整理等の謝金にあてる。
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Research Products
(2 results)