2019 Fiscal Year Research-status Report
16-18世紀インドにおける存在一性論の継承についての実証的研究
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18K00114
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
石田 友梨 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60734316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イスラーム思想 / テキストマイニング / アラビア語 / Stanford Parser |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、16-18世紀インドにおいて存在一性論がどのように継承されたのかを明らかにすることを目指している。存在一性論は、イブン・タイミーヤやアフマド・スィルヒンディーなどから批判されつつも、現代にまで受け継がれている。本研究では、アフマド・スィルヒンディー前後の存在一性論の継承に焦点を絞り、継承の際に起こった解釈の変移を明らかにすべく、テキストマイニングに着目した。しかし、対象となるテキストがアラビア語およびペルシア語であるため、既存の分析ソフトが対応していないという問題がある。そこで、(1)アラビア語およびペルシア語によるテキストマイニング方法を模索しつつ、(2)英訳を用いて既存ソフトでのテキストマイニングを試みることにした。 本年度は、(1)については、アラビア語による自然言語処理が可能なStanford Parserの解析方法を習得し、日本語のマニュアルを作成した。ただし、後述の理由により研究成果の発表には至っていない。(2)については、テキストマイニングによってある著作とその注釈書の英訳を比較することにより、注釈書にしか現れない語彙の存在を確認している。しかし、あえて統計分析を行うのであれば、大量のテキストを対象とすることによって初めて浮かび上がってくる結果に期待したいところである。そこで、関連する資料を収集して分析にかけ、その結果を論文にすることを目指していたが、これも後述の理由により資料収集の機会を得ることができなかったため、論文の完成には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の計画通り、Stanford Parserを用いたアラビア語のテキスト分析方法についてのマニュアルを執筆し、ゲラ刷りまで進んでいた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大による研究室の立ち入り制限などがあり、校正が不十分になることから論文を取り下げた。書き上げたマニュアル自体は残っているので、今後何らかの形で研究成果として公表したい。 また、上述の予期しない事情により資料収集も行うことができなかったため、予定していた進捗状況からやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はStanford Parserによる自然言語処理をはじめとしたさまざまな研究手法を習得することに重きを置いてしまった。デジタルヒューマニティーズの研究手法をマニュアル化することで、関心をもつ研究者の役に立てばと考えていたが、研究手法は日々新しくなっていく。データ分析に対する世界的な関心の高まりにより、アラビア語やペルシア語でのテキストマイニングが可能で操作も容易な分析ソフトも近く開発されることだろう。来年度は、新しい研究手法を習得することよりも、その手法が有効であることを示す論文を執筆することに集中したい。これまで、イスラーム思想研究としてもデジタルヒューマニティーズ研究としても学問的価値が低いと考え、英訳を用いたテキストマイニングには本格的に取り組んでこなかった。原典の言語でのテキストマイニングを行った場合の結果を予想し、予想と異なる結果が出た場合にはその原因を究明するためにも、まずは英訳を用いた分析結果をまとめたい。
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Causes of Carryover |
春季休業期間に資料の収集や研究会への参加をすることで、予算の大半を旅費として使用する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により中止を余儀なくされたため。 来年度も移動制限の継続が予想されるため、資料収集は行わない。昨年度高額のため購入を見送ったOCRソフトの購入などに使用する予定である。
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