2020 Fiscal Year Annual Research Report
Researching of modernity of Ishii Tsuruzo on Shimazaki Toson wood carving statue: inspection of remained excessive wood piece and sculpting process reproduction
Project/Area Number |
18K00118
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
福江 良純 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30710751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 修 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 特任教授 (30571723)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 石井鶴三 / 島崎藤村 / 木彫 / 近代彫刻 / 木取り / イサム・ノグチ / 木曽馬 / 木曽教育会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、彫刻家石井鶴三(1887‐1973)の木彫代表作、「島崎藤村先生像」(1949~)の制作工程に残された木片の調査に基づき、「基本形」と命名される抽象形態および、制作工程全体から明確化する近代彫刻の原理の解明を目指して取り組まれた。1949年より、信州木曽福島において、地元の木曽教育会の全面支援の下で取り組まれた制作事業には、石膏原型2体、木彫2体、その全木片約140個(鋸切削分)、制作工程写真(約163枚)、教育会機関紙『木曽教育』、『信濃教育』に収められた言説の他、その派生的事業としての木曽馬像制作事業の関連資料、イサム・ノグチに渡された藤村像制作工程英文解説冊子“My present to memory”(『記念のために』)などが残された。制作遺物の実測の基く制作工程の再現を通じた彫刻原理の追究を企図する本研究においては、石膏原型、木彫作品、制作余材である木片ら、全ての3D形状計測データの採取が目指され、その目標を達成した。それらによって導出が期待される彫刻造形の原理は、世界的な彫刻史の中に位置付けられる性格を持ち、その意義を前提として、制作工程写真等の資料の翻刻とが取り組まれた。研究調査の過程で明らかになった事項については適宜学術論文としてその成果を公表し、刊行された資料、学術論文は研究期間の3年間に7件を数える。 本研究の実績は、研究年度内にて完結する性格のものではなく、造形の原理を現すシステムとして大系化されることで本来の目的が初めて達成されるものである。具体的には今後、3次元形状計測データを活用し、全関連史料の形状データの保存と、制作工程のCGアニメーションによるシミュレーションシステムの構築が目指される。本研究において、その必要とされる基礎データの条件整備がなされたことは数値に現れない最大の実績と言えよう。
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Research Products
(5 results)