2023 Fiscal Year Annual Research Report
Dance as an Art of Bio-Cosmic Subtle Energies
Project/Area Number |
18K00119
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
外山 紀久子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (80253128)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気 / 雰囲気 / 気配 / ポストモダンダンス / 身体 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は研究成果の著作での公開に向けて、前年度から進めている論考の執筆を続けるとともに、本研究課題の深化と発展的継続のために、関連領域の研究者とのネットワーク作成、学会でのパネルやラウンド・テーブル等への参加、オンラインでの研究会の開催を中心に行った。 具体的には、表象文化論学会のパネル(「ままならない身体」)にコメンテーターとして参加し(東京大学駒場キャンパス:7月9日)、IAMAS情報科学芸術大学院大学連携の岐阜市のギャラリーでの研究会で報告を担当した(9月30日)。2022年度行ったリモート研究会(「歩行・退屈・抵抗:アストロエステ/気の身体論再考」)に続く企画として、新たなメンバーを加えてオンラインでの研究会(「気配/脱力/迷走」:アストロエステ/気の身体論再々考」)を開催した(3月4日)。本研究にとってとりわけ重要な身心調整技法(ロルフィング、気功、太極拳等)を導入したコンテンポラリー・ダンスの実践家によるラウンド・テーブル(StudioGOO)、自他の身体の境界の揺らぎを問題とするパフォーマンス・アーティストの事例報告(国立新美術館)のアフター・トークと自主勉強会等にも参加した。 本研究課題の対象とする「拡大ダンス」と「気の身体」が、1960年代のポストモダンダンス以降の「ノン・ダンス」的実験舞踊のみならず、同時代の実験演劇、70年代以後のパフォーマンス・アート、さらには「アート」の外の種々の活動にも射程を広げて考察すべきことが改めて確認された。他方、メディアによる配信全盛時代にあって、生の舞台で観客が経験する「現前」の効果を精査することの意味もなお看過できず、演者の側の「深層の身体」(気の身体)の呼び出しや一種のトランス状態の到来が、時空を共有する観客にどのように作用するのか、新現象学、雰囲気学の最新の知見を参照して検討する方向性が明らかになった。
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