2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cultural reception history of the ideal image of the Swiss chalet architecture in the 19th Century between inside and outside Switzerland
Project/Area Number |
18K00121
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
河村 英和 跡見学園女子大学, 観光コミュニティ学部, 准教授 (50649746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スイス / 山小屋 / 模倣 / チロル / シャレー / 牛乳 / ホテル / 別荘 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スイス国外にできた19世紀のシャレー(山小屋)風建築に焦点を当てたもので、日本に派生した事例も含めてのことだったが、メインとする調査対象は欧米のシャレー風建築を予定していた。そのため初年度の2018年度は、イタリア、イギリス、ドイツに建設されたスイス・シャレーから着想してデザインされた別荘建築等の検証を行い、次年度2019年度は、アイルランド、イタリア、ドイツ、フランスにできたスイス・コテージやシャレー風建築の実地見学をした。また両年度ともに、オリジナルのシャレー建築の調査ができるスイスでも資料収集を行った。しかし研究開始から3年目の最終年度となるはずだった2020年度は、世界中を不安に掻き立てたCOVID-19問題によって海外渡航が困難となった。そこで実地調査は、日本に派生したスイスあるいはチロルのシャレー風建築の事例を中心に追ってゆくようになった。その一方、海外事例の調査は文献・史料収集に留まったが、伊パヴィア大学と西バルセロナ・カタルーニャ工科大学のオンライン国際会議で、研究発表の機会を得ることができた。日本国内の現地調査では、依然として感染拡大防止策の緊急事態宣言が度々発令され、各県をまたぐ移動が制限されていたので、研究期間を1年間延長することとし、4年目の2021年度を本研究の最終年度とした。昨年度に引き続き、日本のシャレー風建築の事例収集・調査を重ねるなか、海外の傾向とは決定的に異なる点が浮かび上がった。日本では、ハーフティンバー意匠(構造としての木骨造ではなく付け柱で表現)が、山小屋風を表現できるという解釈が極端に広く普及したことである。欧米のシャレー風建築でもときに混在するハーフティンバー意匠であるが、それとは全く異なる系統の英チューダー様式までが、山岳リゾート地に合う建物のデザインの一つの解という誤ったイメージが日本では浸透してしまったのである。
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Research Products
(4 results)