2018 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語オペラ確立への軌跡:ドイツ語諸都市の上演状況比較から辿る自国語オペラ
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18K00123
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
大河内 文恵 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (20463953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オペラ / 上演史 / ドイツ語オペラ / 翻訳オペラ / ドレスデン / ベルリン / ヴィーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17~19世紀初頭までほぼイタリア・オペラに支配されていたドイツにおける、ドイツ語オペラ確立の軌跡を、作品史ではなく上演史から読み解くことを目的としている。そのために、18世紀にはドイツにおける一大オペラ上演地であり、19世紀のドイツ語オペラ先進地であったドレスデンのオペラ上演を、その初期である1600年代から1800年代半ばまでのオペラ上演の変遷を辿ることを主眼とする。 本年度は、イタリア・オペラからドイツ語オペラへの転換がおこなわれた主要な時期のドレスデンでのオペラ上演のデータをまとめ、東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校『研究紀要』において、「ハッセとヴェーバーの間:1765年から1830年までのドレスデンにおけるオペラ上演に関する予備的考察」と題する論文を発表した。ザクセン宮廷の財政逼迫によって中断されていたオペラ上演が再開された1765年からの65年間は、従来おこなわれていたイタリア・オペラに加えて、ドイツ語、フランス語のオペラの上演もおこなわれるようになり、そこには翻訳オペラの存在が不可分であることが判明した。 また、2018年8月末から9月初旬にかけて、ヴィーン・ベルリン・ドレスデンの図書館にて基礎資料の収集にあたった。この内容に関しては、2019年度に学会発表する予定である。さらに、17~18世紀のドレスデンとベルリンにおけるオペラとバレエの上演史を扱う上での問題点をまとめ、バレエ史研究会において「18世紀ドイツにおけるオペラとバレエの上演実態調査の問題点:ドレスデンとベルリンを例に」、発生期バレエ研究会において「17~18世紀ドイツにおけるバレ:ドレスデンを例に」と題する口頭発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドレスデン・ベルリン・ヴィーンの上演記録のデータ入力作業が進行中である。どの都市も情報が散在している状況で、2年目におこなう予定のメディア調査によって情報の追加・削除・修正をおこなうことも十分予測できるので、次年度も引き続き調査と入力を継続することは想定内である。
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Strategy for Future Research Activity |
ドレスデンを中心に、上演情報の調査と入力を継続しつつ、当時の新聞・雑誌といったメディアでの調査をおこなう予定である。その際、上演記録やその受容について調査に加え、1年目に浮かび上がってきた「ドイツ語翻訳オペラ」の存在にも注視し、同様の傾向をもつベルリンおよびヴィーンとの比較を通して考察していきたい。
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Causes of Carryover |
物品費のうち、関連図書代に充てる予定だった5万円が使用できなかった。次年度に関連書籍代として使用する予定。
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