2018 Fiscal Year Research-status Report
The Ethnomusicological Study of Argentine Jewish Musicians who Left the "Diaspora"
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18K00129
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
川端 美都子 香川大学, 経済学部, 准教授 (20749858)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ディアスポラ / アルゼンチン=ユダヤ / 民族音楽学 / ユダヤ研究 / ラテンアメリカ研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画通り、平成30年11月に、ディアスポラと祖国を「移動」する、アルゼンチン出身でイスラエル在住のユダヤ音楽家デュオ「ブスケダ・エテルナ」を招致した。同デュオは、1990年代にアーリヤ―(イスラエルへの「帰還」)を果たしたイェフーダ・グランツYehuda Glantzと、2010年代にマリエル・ピベンMariel Pivenの2名で構成されている。まずは、移動する音楽家としてのアイデンティティや、祖国やディアスポラについての考え方、ユダヤ・アイデンティティ、ならびに音楽活動における創造性についてのインタビューを実施し、重要な研究データを収集することができた。加えて、グランツとピベンの両者と共に、実演を交えながら、立教大学ラテンアメリカ研究所、関西学院大学、大阪大学のような学術機関において、アルゼンチンにおけるユダヤ・コミュニティと音楽的特徴についてレクチャーを実施した。また、香川大学博物館の関連行事として、アルゼンチン大使館からの後援を得ながら、香川国際交流会館においても実演を交えたレクチャーも実施した。これらの成果の一部は、「現代のアルゼンチン・ユダヤ・コミュニティとその多様な音楽文化」という題目で、2018年度の『ラテンアメリカ研究所報第47号』に掲載されている。 同時に、次年度における北米での調査に向けて、アメリカ合衆国を拠点に音楽活動を続けるアルゼンチン・ユダヤ・ミュージシャンらのともコンタクトを取り、演奏活動の状況についてオンライン・リサーチを実施している過程である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、研究計画通りにイスラエルからアルゼンチン出身のユダヤ・ミュージシャンを招き、研究データの収集だけではなく、研究成果の一部を公に発表することができた。これらのデータの分析から理論化の過程については、次年度からの更なるデータが必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、2年目はとディアスポラを移動するアルゼンチン・ユダヤ・ミュージシャンらの北米における音楽活動を追い、インタビューを実施する予定である。特に、調査対象地としているのは、フロリダ州マイアミ市と、カリフォルニア州ロサンジェルス市である。既に、平成30年度の時点で、ミュージシャンらとは民族誌的研究に必要な意味のある人間関係meaningful rapportを築いているため、ユダヤ祝祭日と関連した行事と絡めた時期に彼(女)らの音楽活動の場におけるフィールドワークを計画している。
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Causes of Carryover |
イスラエルからのアルゼンチン・ユダヤ・ミュージシャンの招致にあたり、35万円を2名分の交通費として計上していた。しかし、実際の飛行機代が見積もりよりも安価であったために、差額が生じたのが理由である。
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