2019 Fiscal Year Research-status Report
音楽創作による戦争協力-第二次大戦中のアメリカ作曲界を対象にして-
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18K00142
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Research Institution | Toho Gakuen School of Music |
Principal Investigator |
沼野 雄司 桐朋学園大学, 音楽学部, 教授 (00322470)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ現代音楽 / 戦争推進音楽 / 第二次大戦と音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次大戦中のアメリカの芸術音楽創作活動において、戦争協力作品がどのような経緯で、どのような形態で書かれたのかを明らかにすることを目的としている。 初年度においてBen Arnold, AnnegretFauserなどの研究を検討し、消化したが、2年目となる2019年度においては、Steve Swayneの議論をベースにしながら、そこで展開されているウィリアム・シューマンとピューリツァー賞に関する議論を精査するとともに、40年代のMusica Educaters Journalのバックナンバーを参照し、戦争推進音楽関係の記事、論文などをピックアップすることになった。 しかし、コロナ禍のために、2019年度末(3月)に予定していたアメリカでの研究調査が不可能になった。また、本研究の1~2年度は全て、2020年度の長期にわたるアメリカでの研究調査を行なうための予備作業であったが、現在(2020年7月)においては、渡米の目処が立たず、当初の予定であった現地での十分な雑誌調査が望めない可能性が高くなった。ゆえに、研究方法の微修正を図っているところである。 2019年度においては、論文の形で十分な中間報告はなされたとはいえないが、2019年9月7日に国立音楽大学において「両大戦間のアメリカ音楽:ニューディール期の音楽政策」(シンポジウム「第一次大戦後の音楽」)というタイトルでの発表を行ない、ニューディール期と、それに続く40年代のアメリカの音楽政策についての様々なトピックスについて整理を行なった。また、同じく戦後のアメリカ音楽については、和田ちはるらとの共著による『愚かでない音楽を求めて 音楽と政治:ハンス・アイスラー再考』を出版し、ここでアメリカの戦間期から戦後にかけての反共主義などについて、FBIの資料などをもとにして考察を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」でも記したとおり、2019年度末のアメリカ研究調査は、コロナ禍によって中止せざるを得なかった。また、4年間の研究期間において3年目(2020年度)の大規模な現地調査はもっとも重要な位置づけにあるが、現在(2020年7月)において、この現地調査は当分の間不可能になっている。ゆえに研究を継続するためには、何らかの軌道修正を行なう必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点(2020年7月)において、当該年度内にアメリカ(ハーヴァード大学)で研究調査を行なうことができるかどうかは定かではない。しかし、日本国内の1940年代アメリカの音楽雑誌所蔵数はきわめて乏しく、「雑誌」という媒体からの調査ではなく、他の2次文献を参照しながら、場合によっては当初の計画とは異なり、最終年度に十分な現地調査を行なうことを想定している。
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Causes of Carryover |
年度末である2020年3月におけるアメリカ研究調査が(コロナウィルスのために)不可能になったため。
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Research Products
(3 results)