2019 Fiscal Year Research-status Report
国際的な比較調査を踏まえた日本演劇雑誌の総合的研究
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18K00146
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 演劇雑誌 / 演劇写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
演劇雑誌の書誌的調査と目録化をめざした作業をすすめ、なお新たな雑誌の発掘成果を得ることもできた。 本年度は、昨年度1月の北京に続いて、上海を訪れることができ、中国の研究機関との連携等を模索する上で、中国の演劇雑誌や演劇写真の事情について触れる機会を得た。写真資料等については、欧米以上に資料としての残存状況を見極めにくいようだが。演劇の映像資料に関しては、1960年代以前のものがDVDとして市販されているなど、日本や欧米以上の浸透を見ることができた。 日本国内の演劇雑誌から得られた新たな知見については、大英博物館でのマンガ展に出品された「新富座妖怪引幕」に関わる、いくつかの海外での研究発表の機会に、応用することができた。雑誌および新聞からの情報を総合すると、同引幕の遍歴については、ベルギーでの展観状況を調査する必要が生まれ、ベルギー自由大学との研究協力に発展させる予定である。また、国内の成果発表では、歌舞伎学会において、地方劇場を調査研究する上での演劇雑誌の重要性について初めて言及する機会を得た。 演劇雑誌の国際的な比較研究については、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、海外への渡航調査が困難とみられるため、演劇博物館所蔵の海外雑誌との比較研究に専心する予定である。蔓延以前に訪れることができたロサンゼルス日系人博物館では、移民社会の中の演劇写真、演劇の記録映像についての新見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
演劇雑誌の調査研究が、次々と新たな研究領域の開拓につながっており、本研究課題のみならず、演劇とメディアを包括的に考える上では、大きな収穫につながっている。 本課題に特化していえば、なお新たに知られていなかった雑誌や、所蔵の知られていなかった雑誌を発掘しており、目次のデータベース化についても優秀な協力者を得て、進展しつつある。 表題に掲げた国際的な視点からの比較という点については、コロナウイルス感染症の蔓延によって、実際に海外へ渡航して調査することが当分難しくなったため、この面からは研究計画の修正が迫られることとなろう。しかし、演劇博物館収蔵の海外雑誌との比較によって基礎的研究を位置づけ、今後の展開のための準備とするなど、いくつかの方途をすでに勘案している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年は、目次のデータベース化と、誌面のデジタル化を推し進めることを中心とする。 その上で、なお新たな資料発掘を心がける予定である。ロサンゼルス日系人博物館からは、映像提供を受ける予定であるので、この点については再度確認を行う。
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Causes of Carryover |
役務として業者委託する予定であった業務(デジタル化に伴う複写作業を予定)が、日程等の理由により実行できなかったため、次年度に実施することとした。
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