2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Japanese theater magazines based on international comparative research
Project/Area Number |
18K00146
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歌舞伎 / 演劇雑誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウイルスの蔓延が収まらず、海外図書館への訪書、演劇雑誌の比較という本来の計画遂行が難しくなり、海外雑誌の調査に関しては、専ら早稲田大学演劇博物館の蔵書を調査するということとなった。 整理合本を終えている約250種の海外雑誌を閲覧することができたが、判型においては日本の演劇雑誌の主流であったB5版に相当するものはほとんどなく、日本で例外的であったタブロイド判ないしA4版が多数を占めることを確認した。今後、詳細な内容の比較によって、写真版における影響などを見極めてゆく必要がある。 今期は、学会および企画事業もオンラインで行われることが多く、その際の聞き書(林与一氏)などの準備調査として、関西の戦後の演劇雑誌の調査が大きく役に立つこととなった。 あわせて、雑誌の総目次入力を進め、雑誌『道頓堀』などの項目入力を終えた。 新たな雑誌の発掘では、例えば『パンフレット市村座』(1923)の1~4号を確認した。これまで2号までの存在は知られていたが、関東大震災直前に多くの所属俳優を失った市村座が、どのような形で苦境を脱却しようと試みたかを垣間見せる資料として極めて貴重なものといえる。また、従来ほぼ顧みられなかった『演劇写真新報』(1941~1943)のほぼ全容を把握するに至り、戦中期の演劇雑誌統合期間中に、写真誌が刊行に苦難する様子の一端を目の当たりに知ることができた。同時期の『演劇界』とのさらに細かな比較によって、戦中期の演劇雑誌刊行の実態を追求することが可能になる。
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