2020 Fiscal Year Research-status Report
The Role of artists in artistic practices by people with disabilities
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18K00154
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
服部 正 甲南大学, 文学部, 教授 (40712419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アール・ブリュット / 障害者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルスによる外出制限の影響が大きく、予定していた調査を十分には行うことができなかった。文献調査やオンラインでの聞き取り調査しか行うことができず、順調に進捗したとは言い難い。 それでも、これまでの調査や研究をもとに、障害者の創作活動と現代美術家の活動の関係に焦点を当てた研究成果の公表をいくつか行うことができたのは、今年度の大きな成果であった。『臨床心理学増刊第12号 治療は文化である―治癒と臨床の民族学<エスノグラフィ>』に発表した論文「アール・ブリュットの限界とアートの力」では、2019年にベルギーで行った調査や国内での美術家への聞き取り調査に基づき、リエージュのマッドミュゼがトリンクホール・ミュージアムとしてリニューアルした事例や、山村幸則と森口敏夫の共同制作作品《どうしょんど》などを取り上げつつ、障害当事者の支援という視点から障害者の創作活動と現代美術の関係について考察を試みた。 また、新型コロナウイルスの芸術分野での影響を考えるために、ドイツ在住の美術家、美術館学芸員、身体表現団体の主宰者、音楽学の研究者を招いてオンラインのシンポジウムを開催し、その中で障害者の表現活動における新型コロナウイルスの深刻な影響について、支援施設への聞き取り調査で得た知見を報告した。この内容を書き起こしてまとめた報告を学会誌に投稿し掲載されたことは、コロナ禍における障害者の芸術活動に生じた問題を記録にとどめる意味でも大きな意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の対策として所属先が出張を厳しく制限したため、海外はおろか国内への出張もほとんど不可能となり、予定していた調査がほとんど実現しなかったため。わずかに出張可能な時期もあったが、予定した訪問先が障害者支援施設である場合も多く、感染者の発生は施設の活動に致命的な影響を与えかねないため、訪問を控えざるを得なかった。図書館の休館、在宅勤務指示など、調査全般にわたって著しい制限があった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染状況が改善し、対面による聞き取り調査が可能となる段階を慎重に見極めながら、遅れていた調査活動に取り掛かる。海外調査については引き続き困難な状況も考えられるため、国内の調査などの可能な研究から取り掛かり、オンラインも活用しつつ調査を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策による出張の制限により、予定していた国内外の調査が行えなかったため。
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