2019 Fiscal Year Research-status Report
生人形の制作・流通・展示に関する研究 -安本亀八を中心に
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18K00162
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
本田 代志子 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70713527)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 安本亀八 / 生人形 / 風俗人形 / 博覧会 / 博物館 / 祭礼 / 松本喜三郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
安本亀八の風俗人形については、これまでに桐生の織姫の像など絹織物の業界との結びつきが判明していたが、さらに海外での博覧会においても、養蚕を紹介する二例の展示についても、写真資料により裏付けを得ることができた。一例では、等身大で写実的表現で実際の養蚕の作業風景を示したものであったが、別の例では写実的表現ではなく、絹の展示の単調さを解消するための立体的表現にすぎず、人形の展示効果が高いとは言えないものであった。 祭礼に関しては、安本亀八や鼠屋の作と思われる人形の新たな情報を得ることができた。佐原の祭りで用いられた、安本亀八や鼠屋などによる人形については複数の現物を実見し、さらに町内に伝わる資料を閲覧した。祭礼の人形ならではの経緯として、最初の注文のほか、修復、再制作、レプリカ制作などが行われており、制作者、制作方法、制作年、さらには修復者の関与の度合いなど、これから検証を進めていく際に整理すべき事項も明らかとなった。 また国内の博覧会において、1910年代以降、安本亀八のほかにも多くの等身大の人形が用いられていることから、この時期の博覧会の主たる展示方法であるとの考えを強めることになった。なかでも平和記念東京博覧会の事例は、多数の人形が使用され、写真や報道記録が多く残されている。これらをふまえ、1910-20年代を軸とした、多くの人形師の活動状況、ほかの博覧会の動向、さらに海外の博覧会や博物館の状況との比較を進めている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスの影響で、2-3月に予定していた欧州および国内での調査を中止した。欧州での安本亀八と松本喜三郎の展示状況に関する資料収集、および国内での作品調査を控える必要が出たことが、研究が計画よりもやや遅れた要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に調査ができなかった部分を精力的に進め、取り戻したいと考えているが、4月の現時点では、作品の実見および文献収集のための調査がいつから可能となるのか、状況が不透明である。 当面はこれまで収集した資料の解読などを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で、2-3月に予定していた欧州および国内での調査を中止し、国外および国内旅費が未使用となったため。 これらの遅れを取り戻すため、2020年度の夏~秋、2021年春の調査を計画しているが、コロナウィルスの状況次第と考えている。
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Research Products
(1 results)