2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Comprehensive Research on Medieval and Early Modern Portrait Sculptures
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18K00165
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
塩澤 寛樹 群馬県立女子大学, 文学部, 教授 (60162567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肖像彫刻 / 俗人肖像彫刻 / 安本亀八 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年に引き続き、新型コロナウイルスの流行とその感染防止の観点から、社会活動に一定の制約が加えられたものの、社会活動を行うことへの手段がある程度確立され、実地調査活動を再開することができた。 実地調査は、奈良県のおふさ観音・個人(3箇所)及び三重県の高山神社・個人(3箇所)を行った。それぞれ安本亀八による肖像彫刻及びその関連資料の調査交渉と調査・撮影を行った。また、千葉県香取市の個人(2箇所)で山車人形の調査を行った。これは三代安本亀八によるもので、先代である初代安本亀八の技法を研究する上でよい資料となった。 前年度までの研究成果として、「三重・名張市伝来の安本亀八制作の肖像彫刻について」及び「熊本市・本蔵院における安本亀八の事績について」(共に『群馬県立女子大学紀要』44号、2023年2月。後者は竹原明理と共著)を公表した。前者では、三重県名張市内に伝来する七体の肖像彫刻について、彫刻史的な観点から概要を紹介し、制作年代は1860年代の前半とみられること、その制作技法が中世以来の寄木造の伝統を受け継いでおり、亀八の仏師としての側面をよく示すこと、その表現は実人的ではあるものの、やや控えめであること、肖似性を持っていることなどを指摘し、安本亀八の制作活動について彫刻史的位置づけを行った。後者では、熊本市・本蔵院において新たに見出された、明治30年(1897)の安本亀八による2件の彩色事績を紹介し、安本亀八が彩色をもこなすことを確認し、さらに最晩年に至っても仏師として伝統・技量を守って活動し、その際には肩書きに「仏師」名乗ることなどを指摘し、その意義を考察した。
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Research Products
(2 results)