2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of the History of Japanese Caricature by analyzing works of Nichosai.
Project/Area Number |
18K00176
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中谷 伸生 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (90247891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耳鳥齋 / 戯画 / 大坂画壇 / 漫画 / アニメーション |
Outline of Annual Research Achievements |
江戸時代の戯画作者である耳鳥齋を日本戯画史の中に位置づける研究を進めた。これまで忘れられてきた耳鳥齋の戯画作品について、できる限り多くの資料を収集・調査し、その全容を把握できるように努めた。その結果、耳鳥齋は平安時代の絵巻で戯画的性格を表明する鳥羽僧正覚猶の作に擬せられた《鳥獣人物戯画》を高く評価し、自らの理想としていたことが明らかになる。ただし、《鳥獣人物戯画》自体についての作品そのものに関心があったというよりも、偉大な鳥羽僧正覚猶という人物に憧れたと考えた方が事実に近い。 やがて耳鳥齋は、推測ではあるが、英一蝶や与謝蕪村の戯画に惹かれて、それらの戯画作品を自らの出発点に据え、独自の戯画を描くようになった。耳鳥齋の戯画は、あまりにも独創的であったために時代の中で半ば孤立することになる。また、近代の美術史および戯画史が、東京(江戸)と京都(京)に偏って研究を積み上げた結果、大阪(大坂)で活動した耳鳥齋の作品は、忘れられることになり半世紀が過ぎた。21世紀に入った頃から、日本のマンガ・アニメーションに注目するクールジャパンの流れに棹さして、再び耳鳥齋の戯画が脚光を浴びるようになる。 本研究では、耳鳥齋を加えた日本戯画史の構築を目指し、耳鳥齋とその周辺の大坂画壇の画家たちをも研究対象に加え、大坂画壇の再評価の中に耳鳥齋を位置づけるとともに、日本戯画史全体の視野を踏まえて、耳鳥齋と江戸時代の大坂の戯画を再検討・再評価する研究を進めた。
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Research Products
(11 results)