2021 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on Images of Temples and Shrines in Chusei Period
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18K00180
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Research Institution | The Museum Yamato Bunkakan |
Principal Investigator |
泉 万里 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部長 (60243135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 攝一 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部員 (70463297) [Withdrawn]
都甲 さやか 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部員 (80706755)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本中世絵画 / 寺社景観図 / 縁起絵巻 / 素朴絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍によって中断していた作品の実地調査を再開し、国文学研究資料館にて、個人所蔵の新出の「源義経一代記図屏風」の特別観覧を実施。図版から「笠置寺縁起絵巻」と同じ絵師あるいは工房の作と推測して調査にのぞみ、それを確認した。 研究期間最終年度は、当初計画では冊子形態の研究成果報告書の作成と、研究集会を予定していたが、コロナ禍によって研究集会は見送り、2021年度末に研究成果報告書『中世寺社境内の風景』を作成、刊行し、関係諸機関、公立図書館、研究者に配付し、それをもって、本研究の最終的な成果報告を行った。研究成果報告書に掲載した論文は以下のとおりである。「高野山の風景」「出雲神社絵図 神領と由緒の証し」「東山泉涌律寺図 宋風伽藍の200年」「摂州細川荘絵図 水墨画風表現の浸透」「笠置寺縁起絵巻とその絵師」の5編である。最初の一編をのぞけば、いずれも従来絵画史的な位置付けが曖昧であった作品を対象とした作品研究論文である。それらを中世絵画史上に位置づけたことが本研究の主要な成果である。 また、「笠置寺縁起絵巻」については、詞書の筆跡を検討し、確たる根拠をもって制作時期を16世紀(天文年間)と結論した。さらに「笠置寺縁起絵巻」に近い様式をもつ「源義経一代記図屏風」と比較し、同時代に南都で活動していた工房の存在を指摘した。研究報告書には、上述の論文に、多数のカラー図版をあわせて収録し、今後の中世絵画研究に役立つように配慮した。 そして、都から離れた寺社やその周辺地域で作成された絵図や絵巻が、絵具の節約にもなる水墨画風技法を活用し、絵画を見ることに慣れていない素朴な受容者にふさわしいわかりやすい表現を追求することに注目し、それを、中世絵画の様式の一つとして捉えた。
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Research Products
(1 results)