2019 Fiscal Year Research-status Report
もう一つの抽象表現主義史―抽象表現主義者たちの自主的集団活動についての考察
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18K00187
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
大島 徹也 多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (50761102)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抽象表現主義 / ニューヨーク・スクール / 〈芸術家の主題〉校 / スタジオ35 / “怒れる者たち” / ザ・クラブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は五ヵ年計画であり、基本的に、一年ごとに次の①~⑤の主要トピックを順に重点的に追ってゆく。①〈芸術家の主題〉校、②スタジオ35、③ザ・クラブ、④“怒れる者たち”、⑤9丁目展。 当該年度の主要トピックは②スタジオ35である。これは1949年にニューヨーク大学の美術教育系の有志教員3名が立ち上げたアートスペースで、1950年まで存続した。 当該年度においては、特にスタジオ35の活動に関して、どのような将来の抽象表現主義第2世代の芸術家がどのように関与していたのか、どの抽象表現主義者がどのような講演会をいつ行ったのか、抽象表現主義者を中心とする25名の芸術家が参加した1950年4月の討論会はどのようにして組織されたのか、などの問題を考察した。また、同討論会の参加依頼状と会議録の日本語試訳を作成した(今後、訳を完成させ、何らかの手段で公開予定)。 当該年度においては、ニューヨークのアメリカ美術文書館やアド・ラインハート財団、マイケル・ローゼンフェルド画廊等のアーカイヴの調査を行い、そこでは①〈芸術家の主題〉校、③ザ・クラブ、④メトロポリタン美術館への抗議行動にも関係の深いいくつかの資料を入手することができた。 当該年度においては、上記の調査研究の成果のいくつかを直接的・間接的に反映させて1冊の共著書籍を出版した(「10. 研究発表」の「図書」の項を参照。同書における担当部分は次の通り:Tetsuya Oshima, “Search for the Universal: Norman Lewis’s Engagement with Asian Art,” pp. 8-14)。また、1つの研究会(学会ではなく研究会。2020年3月7日に東京のロゾー絵画教室で開催)において、上記の調査研究の成果の一部の報告を行った(「10. 研究発表」の「学会発表」の項を参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度(2019年度)の主要トピックについての調査を進める過程で、2018年度・2020年度・2021年度のそれぞれの主要トピックに深く関係する重要な資料をいくつか発見したため、調査研究の方向性がいくらか分散した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のエフォートのパーセンテージを上げつつ、調査研究をよりシステマティックに行っていくことで、当該年度に予定してた調査研究の遅れを取り戻し、次年度末までに、予定の進捗度合に到達する。
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Causes of Carryover |
当該年度の後半に計画していたいくつかの調査旅行を、新型コロナウイルスの感染拡大により、中止せざるをえなくなったため。 次年度には、もともと海外調査旅行1回(経費は概算で60万円)を計画している。それに加えて、当該年度に生じた次年度使用額を使って、当該年度に中止したいくつかの調査旅行を行う予定である。
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