2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Modernisme Painting: the Art of Santiago Rusinol and Ramon Casas
Project/Area Number |
18K00194
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
木下 亮 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (60195328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ムダルニズマ / バルセロナ / サンティアゴ・ルシニョル / ラモン・カザス / アンリック・クララソ |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナ感染状況が変化するなかで、2021年度も夏季、冬季、春季とスペインにおける作品調査、資料収集、そして研究者との交流ができないままとなり、研究成果は限定的なものとなってしまった。そうした研究環境ではあったが、「バルセロナ万国博覧会と日本」と題する論文を美術雑誌『美術フォーラム21』に寄稿した。1888年にバルセロナで開催されたこの万博は、19世紀後半に国内で開催された唯一の万博であり、日本を含め世界20数か国からの参加があった。バルセロナにおいて海外の先進技術や文化に目を向ける大きな契機であったばかりか、スペインでのジャポニスムの広がりを検証する上で最も重要な出来事であったことは間違いない。本課題で研究対象とする画家のルシニョルや彫刻家のクララソも同時代人としてこのバルセロナ万博に参加している。 バルセロナ万博に関する先行研究には、カタルーニャ史研究者の八嶋由香利の論考(2009)とバルセロナ大学に提出されたリカル・ブルの浩瀚な博士論文(2011)があるが、研究代表者は先行研究を踏まえ、展示された日本の工芸品と褒賞を確認するとともに、本万博に関わった画家の久米桂一郎を中心に旧佐賀藩出身者の人脈について論じ、展示販売された工芸品の質について問題提起をおこなった。 そのほか、本研究の目的のひとつに、ムダルニズマを牽引した画家のルシニョルとカザス、そして彫刻家のアンリック・クララソが画廊サラ・パレスで継続的に開催した3人展についての考察を挙げている。このグループ展は当時のパリの芸術運動に影響を受けたムダルニズマを理解するうえで重要な意味を持つものである。その意味で、2021年末にバルセロナ大学のイサベル・コイによるクララソの評伝兼総作品目録が刊行されたことは、本研究において画期的なことであり、本書のより深い理解が今後のムダルニズマ研究を大きく後押しするものと考える。
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Research Products
(2 results)