2023 Fiscal Year Annual Research Report
Global Entanglement of Dyeing Designs: A Case Study of "Kimono" Culture
Project/Area Number |
18K00196
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 桂子 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (10551137)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 美術史 / グローバル・ヒストリー / 服飾史 / 異文化交流 / 経済史 / きもの文化 / 京都 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の「和装」史・京都産業史では見えてこない、グローバルな広がりのある「きもの」文化を考察するため以下の3点に焦点を当て、グローバルな連環の中に「きもの」文化を位置づけ、複数地域での調査研究を進めその意味を解明した。 (1)20紀前半以降、京都からアジア・アフリカに輸出された捺染生地:当該捺染生地の文化的意味を検討するため、近世初期にインドから始まった更紗を近代捺染技術のルーツと位置づけ、インド更紗・バティック・和更紗・京友禅(手描き・型友禅・手捺染)・機械捺染(「アフリカン・プリント」を含む)の、デザイン・技術の連環を歴史的に論じた。 (2)ハワイでの着物生地のアロハシャツの誕生とそのグローバルな普及:ハワイ、スパリゾートハワイアンズ(旧常磐ハワイアンセンター)、「東洋のハワイ」と称された指宿市での現地調査・資料調査、アジア各地でのアロハシャツの利用状況の情報収集もかなり進んだ。アロハシャツのハワイでの誕生以降、沖縄を含む日本各地及びアジア各地のリゾート地での、様々な変容を伴う普及と利用の有り様についての論文執筆を進めている。 (3)戦後の外国人用お土産として開発されたスカジャンやハッピーコートの日本での定着と若者文化との関係:スカジャンについては、桐生・横須賀・京都での調査から、戦後日本で誕生したスカジャンの現在の生産者の状況、消費者(需要)による意味づけの多様化の様子が明らかとなった。2020年東京オリンピックのスカジャンや、2023年の「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」に、北九州市の成人式を彩る派手な「きもの」が登場するなど、近年、西洋でますます注目されており、ファッションが西洋から一方向に、尚且つハイ・ファッションからロー・ファッションへ移動するという考え方に挑戦する「越境的な」アイテムと位置づけ直し、今後も引き続き研究をする。
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