2019 Fiscal Year Research-status Report
フォトグラメトリーによる動的人体の3Dデータ取得と享受の研究
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18K00211
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
吉岡 俊直 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (80329870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 史明 筑波大学, 芸術系, 助教 (30512884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フォトグラメトリー / photogrammetry / 写真測量 / 4D / 3DCG |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、フォトグラメトリーの精度向上研究。動画撮影により3Dデータに時間軸を与える4Dの実現性検証。また、研究の中間発表を行うことを主たる目標とした。 まず、フォトグラメトリーの基本的な撮影と、静止画から立体情報を得るワークフローが確立できたことを受け、デジタルカメラの設定による立体データの変化を検証した。ダミーに白いTシャツと黒いズボンを履かせ、露出を段階的に変えながら撮影。白い箇所と黒い箇所の欠損(白飛び、黒つぶれの結果、立体化されない。)がどのように発生するのか検証を行った。その結果、白黒両方が立体化できる適正値の相関関係を求めた。またモデルに対し、レーザーによるランダムドットの投射や、ビデオプロジェクターによる映像の投影を行い、表面の位置情報を付加することで、適正な露出幅が広がるかの検証も行った。 その後、シャッタースピードを段階的に変え、動くモデルを撮影。写真のブレが、立体化にどのように影響するのかを検証した。予想していた<変形した3Dデータ>ではなく、一定以上のブレが生じると立体化自体にエラーが出た。写真のアウトフォーカスは、立体が溶けたような表面を持つが、動体のブレは3次元情報に矛盾が出るからだと推測できる。アウトフォーカスとブレのフォトグラメトリー上の違いに関しては継続して研究したい。 年度末には、カメラの台数を減らし試験的に、動画を撮影。シーケンサーオブジェクトとしてレンダリングすることで、3次元情報を持つ動画が完成した。しかし、立体のノイズや、静止画では気づかなかったカメラ位置のブレが多く計測時に起点となるマーカーの導入が必要だと思われる。 9月には、中間報告会という位置付けで、学外の大学ギャラリーを使い、研究のプレゼンテーション、ワークショップ、研究設備の公開を行った。来場者は1106人で、その報告は最終年度の研究報告書で行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、初年度に機材調達やセッティングを行い、次年度からは、データ収集と実験を繰り返している。令和元年は、9月に中間報告会を設定したことから、それまでに研究をある程度軌道に乗せ、データを整理する必要があった。そういった目標持ったスケジューリングが行えたことで、順調に進むことができた。 フォトグラメトリーの精度向上に関しては、一定のデータは取れたが、より客観的で汎用性のあるデータとして、再び検証する必要があるだろう。動画撮影による立体化は、スタートアップしたところだ。しかし、思っていたよりも動画に問題なくこぎつけた。今後はノイズやブレの問題を克服しなければならない。これらの研究を享受できるブラウジングシステムを研究することが本研究の最終目的である。日進月歩の3DCG技術で、流用できそうな技術も散見できる。これらを統合改良して、研究成果としてまとめてゆきたい。 2年目までの研究成果を、リファインするために、データ収集を再度行うのなら、進行は少し遅延しているかもしれない。しかし、一旦データ収集を行っているので、ノウハウはあり再計測してもスムーズに進むだろう、暫定であればデータもある。それを考えれば概ね計画にそっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、新型コロナウイルスの影響が既にでている。今年度、早々に大学が全面登校禁止となった。本研究は機材を使って研究を行う部分が多く、撮影機材、スペース、演算用コンピュータがないとテレワークも不可能になる。自宅で行える研究内容としては、既存データの整理や検証。機材の一部は持ち帰っているので、限定的な計測作業。何れにしても、本研究の最終年にあたるが、大学封鎖が解除され研究が再開できたとしても、研究が軌道に乗るまでしばらく時間がかかると思われる。ほぼ、半期研究が進まない項目もあるので、研究期間延長申請も視野に入れている。 そういった状況を一旦抜きで、進捗方策を述べれば、まず動画撮影の精度を上げるために、カメラ位置のトラッキング(マーカーを置くなど)3次元化時のノイズリダクションなどを検証する。その後、モデルによる日常動作を撮影し、4Dデータを快適に鑑賞できる環境を整えることで、本研究の最終形態を完成させる。その間、これまでのデータの再撮影、精度向上の実験なども随時行ってゆく。
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Causes of Carryover |
執行することも可能だったが、最終年度の研究を前に、最優先で整備が必要な機器を見極めるために、年度内の執行を見合わせた。最終年度は、ブラウジングシステムのプログラム外注費用。人体計測に向けてのモデル費用が主で、ライティング機器や撮影機器に改善の余地もある。次年度使用の予算も合わせて、優先順位をつけて計画的に執行する。
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Remarks |
2019年8月31日~9月16日 京都・京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにて「複眼と対象のノード」展開催。フォトグラメトリースタジオを設置し、本研究の中間発表を行った。計測成果をパネル展示。研究内容のプレゼンテーション。体験型ワークショップ。 http://gallery.kcua.ac.jp/2019/?category=exhibitions#ja
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Research Products
(2 results)