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2019 Fiscal Year Research-status Report

Innovating notational systems of Japanese medieval chants

Research Project

Project/Area Number 18K00212
Research InstitutionKyoto City University of Arts

Principal Investigator

藤田 隆則  京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 教授 (20209050)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords記譜法 / 民俗芸能 / 能楽 / 楽譜 / 題目立
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本の中世に起源をもっている音曲の担い手らとの対話をつうじて、担い手らが口頭伝承の中で習得したリズムや旋律を、彼らがもっとも適切だと感じる次元において把握することをめざす。その目的に向かって、彼ら自身の実践や、外部者による鑑賞に役立つ「記譜法」を考案することを試みる。対象とする分野は、声明などの仏教声楽、能楽、そして語りを中心とした民俗芸能である。
初年度(2018年度)は、能楽師、声明家、民俗芸能の担い手に対して、インタビューをおこなった。昨年度末の実施報告書に記したとおりである。2年目の2019年度は、(1)民俗芸能の復活上演へのとりくみにおける記譜法の考案、および(2)能楽のウェブサイトにおける記譜法考案、をおこなった。前者については、9月と11月におこなわれたホールでの復活上演の台本・楽譜の作成をおこなった。後者については、能楽の構造をよりよくしめすための工夫のいくつかを、スタンフォード大学と共同で作業して制作しているウェブサイトの中に、組み込む作業をおこなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

奈良県の民俗芸能「題目立」は、旋律の付いた語りの言葉を、物語の役に振り分けて歌い交わしていく芸能である。古くからテクストだけが残っている「石橋山」というレパートリーの復活上演をおこなうにあたり、まずは、保存会による練習に立ち会い、即興的に旋律を選択していく様子の観察をおこなった。その観察を踏まえ、「読点」「文字へのルビ」を付けるかつけないかということを、適宜選択していった。産み字の音を1つの母音のシラブルとしてうたう技法(能楽では「字を章にうたう」(『音曲玉淵集』)などと呼ばれる技法)が生まれることをさまたげないように、ルビは最小限におさえた。
また、旋律を構成するための基本的な旋律パターンの名称を明示し、それらを五線譜ではなく、3本の線を使った楽譜によって示す試みを提案することを通じて、旋律型と文字数との関係を、担い手に対して整理して示すことができた。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究をおえて、初年度に問われてきた「記譜はなぜ、なんのために、だれにとって必要なのか?」が、あらためてクローズアップされる。完成したNoh as Intermediaの映像の記譜を見た何人かは「詳しすぎてわからない」という感想を返してくれた。「わかる人にはわかる、わからない人には結局わからない」というのは、記譜について、しばしば、言われることである。本年度の努力は、理解の助けになる応用的研究という目標をいだきながらも、結局、「わかる人にしかわからない」というところから、まだまだ抜け出せていないとも評価できる。
次年度は、能の一番(2018年に撮影した能〈羽衣〉)全体に楽譜をつけて公開するという作業をおこなう予定である。「なぜ、なんのための記譜か」ということを考えなおした上で、必要な精度、必要ないいかげんさ、必要な補足情報の質と量を計っていきたい。そのためには、記譜を「誰に見てもらいたいか」を、はっきりみさだめるための努力をおこなう。そのために、実演家が記譜を「どのように必要(あるいは不必要)だと考えているか、そしてこれまでに自身が教授場面で「書き方をどのように工夫してきたか」について、インタビューを重ねる。それをまとめて報告すると同時に、〈羽衣〉につける楽譜の形態にも反映させたい。なお、次年度は、音楽の記譜だけではなく、舞踊の記譜(型付)についても、考察の対照にくわえていきたい。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Book (2 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Stanford University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Stanford University
  • [Journal Article] 研究ノート「題目立の旋律型」2019

    • Author(s)
      藤田隆則
    • Journal Title

      日本伝統音楽研究

      Volume: 16 Pages: 43-59

    • DOI

      https://rcjtm.kcua.ac.jp/pub/document2018-/publications/bulletin/16/kiyou16_fujita.pdf

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] The Community of Classical Japanese Music Transmission: The Preservation Imperative and the Production of Change in Noh2019

    • Author(s)
      Takanori Fujita
    • Journal Title

      Ethnomusicology translations

      Volume: 9 Pages: 1-41

    • DOI

      https://doi.org/10.14434/emt.v0i9.28817

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Book] Thought and play in musical rhythm, chapter 82019

    • Author(s)
      Takanori Fujita (author of chapter 8)
    • Total Pages
      212-231
    • Publisher
      Oxford University Press
    • ISBN
      978-0190841485
  • [Book] 語りの立体化そして復曲-狂言、能、題目立2019

    • Author(s)
      藤田隆則・丹羽幸江
    • Total Pages
      32
    • Publisher
      京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター
  • [Remarks]

    • URL

      http://noh.stanford.edu/

URL: 

Published: 2021-01-27  

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