2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K00235
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Research Institution | Professional College of Arts and Tourism |
Principal Investigator |
藤野 一夫 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 教授 (20219033)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化政策 / 地域創生 / 文化的コモンズ / 文化多様性 / 芸術の自由 / 新型コロナ / 社会文化 / ドイツの文化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もコロナ禍による渡航制限のため、ドイツでの調査を実施できなかった。しかしながら、国内での調査を可能な範囲で行い、これまでの研究の蓄積を書籍2冊、論文1編として公表すると同時に、研究成果を数多くの新聞記事や講演会を通じて広く社会に発信、還元することができた。研究代表者は長年にわたり、ドイツの社会文化センターの調査を継続してきたが、その成果を、共編著『市民がつくる社会文化 ドイツの理念・運動・政策』(水曜社、2021年6月)として上梓した。研究代表者の分担執筆は、第1章 社会文化の成立と理念(pp.20~43)、第7章 ドイツの文化政策における社会文化の位置と刷新(pp.163~194)、第8章 パンデミック時代のドイツの文化政策(pp.195~235)である。また単著『みんなの文化政策講義 文化的コモンズをつくるために」(水曜社、2022年3月、全295ページ)では、「文化的コモンズ」「文化多様性」「公共性」「文化権」「マイノリティ」「芸術の自由」「芸術の自律性」「美感的判断力」などをキーワードとして、人文科学を基礎とした文化政策学の概論を試みた。さらに、「新型コロナ禍での『世間』の同調圧力と芸術文化の課題」(「社会文化研究」24、社会文化学会、2022年2月、pp.23~43)では、人の喜ぶのを見て素直に喜ぶことのできる社会のために、芸術文化関係者は、どのような文化政策を目指すべきかを「インターローカルな文化的コモンズに向けて」提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった日独の比較研究については、渡航制限のために実施できなかったが、国内で可能な範囲での情報収拾を行い、従来の研究蓄積をまとめて公表できたこと。またそれらの成果を、関係者と共有し、意見交換ができていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は2年以上制約されてきたドイツ渡航による現地調査を実行したい。コロナパンデミックによって、日独ともに文化政策上の多様な対策や追加支援策が講じられてきた。とりわけ本研究課題である文化政策による地域創生の観点から、それら日独での対策や支援策が、芸術文化の持続可能な発展の観点から、どのような効果をもたらしたかを新たな視点に加えて、当初の研究課題を鋭意追求したい。
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Causes of Carryover |
本年度も計画していた海外渡航調査ができなかったため、その分を翌年度に繰越すこととした。
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