2023 Fiscal Year Annual Research Report
Strategic research on regional development through cultural policy
Project/Area Number |
18K00235
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Research Institution | Professional College of Arts and Tourism |
Principal Investigator |
藤野 一夫 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 教授 (20219033)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化政策 / 地方創生 / 芸術文化観光 / フェスティバル |
Outline of Annual Research Achievements |
文化観光政策による地域活性化の日独比較研究のため、令和5年7月8日~7月17日ベルリン、フランクフルトにて調査研究を実施した。視察と関係者へのヒアリングを通じて以下の所感と成果が得られた。 ベルリンではコロナ禍にオープンしたフンボルトフォーラムの全展示を、ホフマン学芸部長の案内で視察し、従来のベルリンの文化観光の最大拠点であった博物館島の機能強化について、その実効性を多角的に議論した。ポストコロナのベルリンにおける文化観光が急速に回復かつ拡大している実態を把握した。 フランクフルトとその近隣都市オッフェンバッハで3週間にわたり開催された世界演劇祭(正式には「世界の演劇」)が、鬼才の劇作家・演出家、市原左都子の『弱法師』の世界初演をもって7月16日に閉幕した。ドイツ内外の演劇界に激烈なインパクトを与えた。世界演劇祭は3年に一度、ドイツの異なる都市で開催され、今年で40年目となる。世界各地の演劇シーンの現在を紹介するだけでなく、ダンスやパフォーマティヴなものの多彩な表現、さらにはインスタレーションなどの現代美術も含む、ジャンル横断的な芸術祭。今回は36演目が招待もしくは新制作され、12の芸術文化施設で、100回以上のパフォーマンスが繰り広げられた。 演劇祭をはじめとする芸術祭の第一のミッションかつ本質は、未知の、あるいは忘却された知覚経験を通して新たな世界認識を得ることである。新たな認識は、未知の知覚を通して内省され、議論されることで獲得され共有される。なぜ芸術祭が必要不可欠なのだろうか? それは第一義的には、観光のためでも都市や地域の再生のためでもない。多様な、複数性としてある人間たちが、人間であることの根源的な意味と出会う時空の創造にこそ、芸術祭の必然性がある。これらフランクフルトの世界演劇祭についての批評を日経新聞に寄稿した。
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