2020 Fiscal Year Research-status Report
Interpretation of performance for Minao Shibata's Theater piece -On physical and spatial production-
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18K00237
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
徳永 崇 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90326497)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 柴田南雄 / シアター・ピース / 合唱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本を代表する作曲家、柴田南雄の「シアター・ピース」と呼ばれる合唱作品を実演する際に、その表現の重要な要素である演出の可能性について探ることを目的としている。柴田の「シアター・ピース」は、演奏者の身振りや配置、照明などの視覚的・身体的な要素が重要であり、楽譜にも指示が記載されている。しかしその内容は、あくまで目安程度であり、演奏者が自発的に考え、工夫し、表現することが求められている。それ故に、演奏に相当の練度を要することから、重要な作品群であるものの、近年は演奏の機会が減少している。本研究では、演奏者の自発性を損わないよう配慮しつつ、演奏を実現する手がかりとなるよう、いくつかの団体の実例を調査・整理し、実演を試みる他、成果物として結果を出版する予定である。 研究の初年度である2018年度では、日本を代表する合唱指揮者であり、柴田作品の多くの初演に関わった田中信昭氏をはじめ、柴田のシアター・ピースを実演した経験のある演奏家や団体から情報を収集し、これまでの演出の実態について調査した。その間、柴田のシアター・ピースの特徴について学会発表を行なった。2年目の2019年度では、前年度のデータをもとに、2つの合唱団体に実演を依頼し、演奏発表の形で演出方法の検証を行なった他、初演に関わった演奏家を招き、ワークショップを開催した。当該年度である2020年度は、さらに3回の実演を予定していたが、コロナウィルス感染拡大の影響により、合唱の実演が不可能となったため、研究期間の延長を申請した。なお、2021年の実演に向け、2020年度末に合唱団の練習を実施するなど準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度である2020年度では、2つの合唱団体及び1回の自主公演を企画していたが、国内のみならず国際的に猛威を振るうコロナウィルスの感染拡大の影響により、音楽活動の自粛を余儀なくされたため、全ての公演が実現できなかった。これにより、1年間の研究期間の延長を申請し受理された。音楽活動のうち、合唱公演は出演者の呼吸が演奏に不可欠であるため、感染拡大の危険性が指摘されたことから、実演には多くの困難が伴っている。2021年度もコロナウィルス感染拡大の懸念は完全には払拭できないが、2021年6月の公演実施に向け、2020年度末から練習を開始するなど、準備を進めている、
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、1年間の研究期間延長により2021年度も継続して行われる。 2021年度では、2020年度に予定されていた合唱公演を実施し、その上で年度の後半にこれまでの研究成果を出版物としてまとめる予定である。ただし、コロナウィルス感染拡大状況が悪化し、実演が困難になった場合は、過去の公演記録の参照に切り替えるなど、代替案を検討している。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナウィルスが国内外で猛威を振るい、多くの観客が集う音楽公演の自粛が余儀なくされた。このため、本研究で予定していた公演も中止となり、予算のほとんどが未使用となった。このため、1年間の件期間延長を申請し受理されたことから、各演奏団体とも交渉し、2021年度に同様の企画を実施する予定である。このため、2021年3月に合唱の練習を行うなど、2020年度末から準備を進めている。
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