2021 Fiscal Year Research-status Report
21世紀のメディア環境における「ラジオドラマ」の意義に関する総合的研究
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18K00243
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
広瀬 正浩 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (80613299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 あけみ 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30555058)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 聴覚文化論 / ラジオドラマ / 国語教育 / 黙読 / 音読・朗読 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当初は2020年度で期間満了となる予定であったが、期間延長を申請して2021年度も本研究の活動を行うこととなった。 当初は、現在のラジオ放送に関わっている人物への取材やその人物に参加していただくイベント(シンポジウム等)の企画を考えていたが、ウイルスの感染拡大を懸念し、実施することができなかった。今後はオンラインでの研究会の開催なども視野に入れる必要もあるため、別の主催者によるオンライン研究会等に参加し、運営方法などを学んだ。 しかし、論文等の成果を多く出すことができた。研究代表者の広瀬正浩は、科研費を使って購入した寺山修司原作のラジオドラマの音源を調査対象とし、現代では当然となっている「ステレオ」技術の黎明期のラジオドラマの表現方法を研究して、現代の音声表現の可能性を検証した論文「寺山修司のラジオドラマ:「まんだら」における聴覚的表現の可能性」(『椙山女学園大学研究論集 人文科学篇』53、2022年3月、椙山女学園大学、p.1-12)を著した。また、広瀬は、文学作品や国語科の教材が音声化(音読・朗読)される際の問題点を抽出し、黙読による受容と音声化による受容との間をめぐるイデオロギーを検証した論文「読者がその黙読の過程で耳にするもの:国語教材・文学作品の受容における聴覚性」(『言語と表現-研究論集-』19、2022年3月、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部、p.5-16)を著した。特に後者は、日本近代文学会東海支部第69回研究会(2021年12月5日、オンライン)での研究発表の成果として生まれたものであり、本研究を社会的にオープンにする契機であったと同時に、国語教育という新たな領域に接合する機会でもあったという点で、重要な業績となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期間を延長することができたこともあり、研究を前に進めることができた。上の「研究実績の概要」でも記したように、研究代表者の広瀬正浩が論文「寺山修司のラジオドラマ:「まんだら」における聴覚的表現の可能性」(『椙山女学園大学研究論集 人文科学篇』53、2022年3月、椙山女学園大学、p.1-12)、および「読者がその黙読の過程で耳にするもの:国語教材・文学作品の受容における聴覚性」(『言語と表現-研究論集-』19、2022年3月、椙山女学園大学国際コミュニケーション学部、p.5-16)と同時に、日本近代文学会東海支部第69回研究会(2021年12月5日、オンライン)で研究成果の報告も行えたため、ようやく順調なペースに戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費の補助期間を再延長することが決まったので、2022年度を最終年度とし、2020年度・2021年度では行えなかった、ラジオ放送関係者への調査及びイベントの企画、もしくは物語のメディア表現化に関わった当事者への調査及びイベントの企画を実現させる。特に、これらの調査・企画については、研究分担者の堀田あけみを中心に進めていくことになる。そして、それらの成果を踏まえ、研究代表者の広瀬正浩による論文執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
当該年度末に、次年度への補助機関延長(再延長)が決まったこともあり、研究対象となる関係者への調査やイベント開催などにかかる費用が次年度(2022年度)に必要となると判断し、次年度使用額が生じるように研究をおこなった。 次年度(2022年度)は、上述のように研究対象となる関係者への調査やイベント開催などに研究費を使い、同時に、過去のラジオドラマや現在の音声メディア表現に関連する資料の収集に研究費を使うことを計画している。
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